衆議院の優越
国会において、
衆議院は参議院よりも優越されています。
その理由としては、
衆議院の任期は4年と参議院の6年よりも短いことや、
衆議院には解散がありその時の国民の声を反映しやすいことから参議院よりも国民の意思により近いと考えられているからです。
では、実際に衆議院にはどのような優越が認められているのでしょうか。
ちなみに
これらは憲法でも定められています。
①法律の制定(憲法第59条)
法律を制定するにあたって、衆議院と参議院とで意見が別れた場合には、再度衆議院で議決をとります。
衆議院において
全体の3分の2以上で再び可決されたときには、参議院の意見は無視され法律として制定されます。
法案が衆議院に戻ってきたときは衆議院の3分の2以上の賛成が必要
②予算の先議権と優越(憲法第60条1項)
予算審議の場合は、
必ず衆議院から話し合いを始めなければなりません。
衆議院での話し合いが終わったあとに参議院へと話し合いがうつるのですが、衆議院と参議院とで意見が別れてしまった場合には、衆議院と参議院の代表者で構成する
両院協議会で再度話し合いをすることになります。
それでも折り合いがつかない場合には、衆議院の意見が国会の意見として採用されることになっています。
ちなみに
参議院が30日以内に考えをまとめなければ、両院協議会を開く前に自動的に衆議院の意見が採用されます。
予算は参議院は30日以内に決議をしなければ、衆議院の意見が採用
③条約の承認と衆議院の優越(憲法第61条)
条約を締結するときにも、予算の話し合いと同じシステムが採用されています。すなわち、衆議院と参議院との話し合いで折り合いがつかなかった場合には、衆議院の意見を国会の意見とします。
④内閣総理大臣の指名における衆議院の優越(憲法67条第2項)
国会が内閣総理大臣を指名する場合において、衆議院と参議院とで指名者が異なった場合には、まず
両院協議会を開きます。それでも意見がまとまらなかったときには、衆議院の指名した者が内閣総理大臣となります。
ちなみにここでは、衆議院の指名者が決定してから
10日以内に参議院が考えをまとめなければ、両院協議会を開く前に自動的に衆議院の意見が採用されます。
総理大臣を決めるときは、参議院は10日以内に決議をしなければ、衆議院の意見が採用
⑤内閣不信任案の提出権利(憲法第69条)
内閣が力不足であると判断した場合に、衆議院は内閣の
不信任決議を提出することができます。これを
内閣が受け入れれば解散総選挙となります。
ぎりぎりのところで当選している議員にとっては、次の選挙で落選するかもしれないというリスクがあります。参議院は解散しないので、不信任案も決議できないのです。
内閣不信任決議案が出せるのは衆議院だけ