ルネサンスで押さえておきたいポイント
※赤字部分が問題に出そうな部分です。赤色の暗記シートなどで隠して見てください。
イタリア=ルネサンス
・
ルネサンスとは、
14世紀〜16世紀にかけて、イタリアから始まった
文芸復興のことである。ルネサンスがイタリアで始まった理由は以下である。
①十字軍以降、
ビザンツや
イスラーム文化の流入がおこった。
②
レヴァント貿易(東方貿易)により、イタリアの各
自治都市が繁栄し、
市民意識がつくられた。
③イタリアは古代ローマの栄えた土地で、各地に
ローマ文化がのこっていた。
・イタリア=ルネサンスは、美術や建築などの傑作が残る一方で、芸術を支援したのが
貴族や
ローマ教皇であったため、保守的な側面もあった。16世紀に入ると、新大陸や新航路の発見により、交易の中心が
地中海から
大西洋にうつったことでイタリアの都市の繁栄が終わり、更に
イタリア戦争が激化したことでイタリア=ルネサンスは衰退していった。
・イタリア=ルネサンスはイタリア各地で盛んになったが、
フィレンツェの
メディチ家が最大の庇護者であった。14世紀末から
金融業で栄えたメディチ家は、1434年
コジモ=デ=メディチが当主につくとフィレンツェ共和国の国家元首となり、
アカデミー(プラトン学園)を開設し学問を奨励した。また、孫の
ロレンツォは、フィレンツェの最盛期を現出し、共和国であったフィレンツェで専制君主のように振る舞い、多数の芸術家や人文主義者を保護した。また、同時期に
ロンバルディアを支配していた
ミラノ公も、芸術家を保護した。
・ルネサンスの代表的な思想を
人文主義(ヒューマニズム)という。これは古代ギリシアや古代ローマの古典をもとに、抑圧的なキリスト教の禁欲主義を脱し、人間のありのままの姿を表現しようとしたものである。
・イタリア=ルネサンスの先駆者がダンテで、『
新生』や『
神曲』などの作品を残した。『神曲』は
トスカナ語で書かれ、近代国民文学の先駆けとなった。代表的なイタリア=ルネサンスの文化人は以下である。
ペトラルカ | 詩人。代表作『叙情詩集』 |
ボッカチオ | 人文主義者。代表作『デカメロン』 |
マキャベリ | 政治家。代表作『君主論』 |
ジョット | 画家。代表作「聖フランチェスコの生涯」 |
ブルネレスキ | 建築家。代表作 サンタ=マリア大聖堂 |
ギベルティ | 彫刻家。代表作『キリストの生涯』 |
ドナテルロ | 彫刻家。代表作『預言者ハバクク』 |
ブラマンテ | 建築家。代表作 サン=ピエトロ大聖堂 |
ボッティチェリ | 画家。代表作「春」「ヴィーナスの誕生」 |
・ルネサンスで活躍した文化人の中でも、
レオナルド=ダ=ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロは三大巨匠と呼ばれる。
・レオナルド=ダ=ヴィンチはルネサンス期に理想とされた万能の天才であり、「
モナ=リザ」やサンタ=マリア=デッレ=グラツィエ教会の壁画「
最後の晩餐」など傑作を残し、解剖学や科学技術にも秀でていた。晩年はイタリア戦争を逃れフランス王
フランソワ1世に保護され、フランスで没した。
・ミケランジェロは絵画や彫刻に優れ、大理石像「
ダヴィデ」「
モーセ」や
システィナ礼拝堂の「
天地創造」や「
最後の審判」をのこした。
・ラファエロはレオナルドやミケランジェロよりも若かったが、画家として優れた作品をのこした。代表作は「
聖母子像」や「
アテネの学堂」である。
イタリア以外のルネサンス
・イタリア以外の西欧諸国では、以下の文化人が活躍した。
エラスムス | 人文主義者。代表作『愚神礼賛』 |
ファン=アイク兄弟 | フランドル派の画家。代表作「アルノルフィーニ夫妻像」 |
ブリューゲル | フランドル派の画家。代表作「バベルの塔」 |
デューラー | ドイツの画家。代表作「四使徒」 |
ホルバイン | ドイツの画家。代表作「エラスムス像」 |
ロイヒリン | ドイツの人文主義者。古典研究者。 |
ラブレー | フランスの作家。代表作『ガルガンチュアとパンタグリュエルの物語』 |
モンテーニュ | フランスの人文主義者。ボルドー市長。代表作『随想録』 |
セルバンテス | スペインの作家。レパントの海戦に参加。代表作『ドン=キホーテ』 |
チョーサー | イギリスの作家。代表作『カンタベリ物語』 |
トマス=モア | イギリスの人文主義者。ヘンリ8世時の大法官。代表作『ユートピア』 |
シェークスピア | イギリスの劇作家。代表作『ヴェニスの商人』『ハムレット』 |
科学精神と技術発達
・14世紀以降、東方より
火薬・羅針盤・活版印刷術という三大発明(改良)がもたらされた。また、火薬をもとにして南ドイツで鉄砲がつくられ、戦闘の主力が
騎士から
農兵へうつり、騎士階級の没落を早めた。
・
751年、
タラス河畔の戦いで
唐から
アッバース朝に伝わった製紙法は、その後12世紀にヨーロッパに伝わった。また、
活字印刷が
宋時代の中国で、
金属活字が
高麗で実用化され、その後1450年頃にドイツの
グーテンベルクが
活版印刷術を発明した。
・この時期、教会の主張する
天動説に異を唱える形で
天文学も発達した。『
天球回転論』を著し、
地動説を唱えた
ポーランドの
コペルニクスや、
イタリアの
ジョルダーノ=ブルーノ、
フィレンツェの
ガリレオ=ガリレイ、
ドイツの
ケプラーなど、さまざまな天文学者が活躍した。