宮仕へする人々の
宮仕へする人々の出であつまりて、おのが君々の御こと、めできこえ、宮のうち殿ばらのことども、かたみにかたりあはせたるを、その家主(いへあるじ)にて聞くこそをかしけれ。家ひろくきよげにて、わが親族はさらなり、うちかたらひなどする人も、宮仕人を、方々にすゑてこそあらせまほしけれ。
さべきをりは、ひとところにあつまりゐて物語し、人のよみたりし歌なにくれと語りあはせて、人の文など持てくるも、もろともに見、かへりごとをかき、また、むつまじう来(く)る人もあるは、きよげにうちしつらひて、雨など降りてえ帰らぬも、をかしうもてなし、まゐらむをりは、そのこと見いれ、思はむさまにして出だしたてなどせばや。
よき人のおはしますありさまなどの、いとゆかしきこそけしからぬ心にや。
見ならひする物
見ならひする物。あくび。ちごども。