東洋のルソー 中江兆民
開国後、日本には多くの西洋思想が入ってきました。
森有礼、
福沢諭吉らを中心に結成された
明六社がイギリス流の民主主義を紹介していた一方で、フランスの思想を受けたのが
中江兆民や
植木枝盛でした。(植木枝盛は私擬憲法の立案でも登場しましたね。)
中でも中江兆民はルソーの「社会契約説」を日本語訳して紹介をし、「東洋のルソー」とまで呼ばれた人物です。中江兆民の思想は以下のとおりです。
中江兆民の思想
中江兆民によると民権には2種類があります。1つは為政者が国民に恵みを与えるという
恩賜的民権。そしてもう1つは、人民が革命などを通して自ら手に入れた
回復的民権です。天皇制や新しい政府が誕生していたこの時世に後者の民権を主張するのは自殺行為です。ですので中江兆民は、あくまでも、与えられた恩賜的民権を大切に育み、そこに不具合が生じれば回復的民権へとシフトしていくことが最善だと説きました。
日本に哲学なし
また中江兆民は、日本人には哲学という考え方がないことを憂慮していました。自分自身の哲学がないために、主義・主張が苦手で目先の利益を優先する国民性を激しく批難します。この現状を打破するために、哲学的に考える機会を多く持ちなさいと説きました。