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塩・鉄(・酒)の専売とは わかりやすい世界史用語460
著作名: ピアソラ
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塩・鉄(・酒)の転売とは

前漢時代、武帝は国家の財政を強化するために、桑弘羊らの提案により塩・鉄(・酒)の専売制を実施しました。これらの政策は、国家の収入を増やし、軍事的な拡張を支えるために導入されました。特に、塩と鉄の専売制は、経済政策の重要な柱となりました。

専売制の導入

武帝は、国家の収入源として塩・鉄(・酒)の専売制を設けました。これにより、これらの商品の生産と販売は国家の管理下に置かれ、私営業者はこれらの商品を生産・販売することができなくなりました。この政策は、国家の財政を安定させる一方で、多くの商人や産業家を破産に追い込み、広範な不満や反乱を引き起こしました。酒の専売は民間からの反対が多く早期に廃止されました。

武帝の死後、後継者である昭帝の時代に、これらの政策を続けるべきかどうかについての大規模な討論会が開かれました。この討論(塩鉄会議)は宣帝期の官吏である桓寛によりまとめられた「塩鉄論(鹽鐵論)」として知られ、改革派と近代派の二つの派閥によって行われました。改革派は主に儒学者であり、専売制の廃止と政府支出の削減を求めました。一方、近代派は武帝の政策を支持し、国家の軍事的な拡張を支えるために、私商人の利益を国家の財政に取り込むことを主張しました。



専売制の影響

専売制は、中国の経済発展において重要な役割を果たしました。塩は生活必需品であり、塩税は国家の主要な収入源の一つとなりました。また、塩の専売制は技術革新を促し、資本の新しい組織方法を生み出しました。しかし、専売制による塩は高価で品質が低いため、私営の塩の密売が続きました。地方の盗賊は塩の密売で栄え、反乱軍はそれを支えにしました。

武帝の専売制は、中国史において経済政策の転換点となりました。これらの政策は、国家と社会の関係、政府の性質、富裕層と貧困層の間の対立など、多くの議論を引き起こしました。また、これらの政策の実施は、政府の能力の実際的な試金石となりました。

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