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六部とは わかりやすい世界史用語636
著作名: ピアソラ
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六部とは

六部は、中国の唐代(618年 - 907年)における中央政府の主要な行政機関でした。この制度は、三省六部と呼ばれる行政構造の一部であり、三省(中央書省、門下省、尚書省)と六部(吏部、戸部、礼部、兵部、刑部、工部)から成り立っていました。

六部の概要

六部は、尚書省の下に位置し、それぞれが特定の行政分野を担当していました。六部の役割は以下の通りです:

吏部(人事): 吏部は官僚の任命、昇進、降格、解任などの人事管理を担当しました。官僚制度の維持と効率的な運営を確保するために重要な役割を果たしました。
戸部(財政・戸籍): 戸部は財政と税務を担当しました。国家の収入と支出を管理し、税収の徴収と分配を行いました。また、土地の登記や人口の統計も行いました。
礼部(祭祀・文教・外交): 礼部は儀礼、祭祀、教育、外交を担当しました。国家の儀式や祭典の計画と実施、官僚の試験制度(科挙)の運営、外国との外交関係の管理を行いました。
兵部(軍事): 兵部は軍事と防衛を担当しました。軍隊の編成、訓練、装備の管理、国防政策の策定と実施を行いました。
刑部(司法): 刑部は司法と法務を担当しました。犯罪の捜査、裁判、刑罰の執行を行い、法の遵守を確保しました。
工部(土木): 工部は公共事業と建設を担当しました。道路、橋梁、運河、宮殿などの建設と維持管理を行い、国家のインフラ整備を支えました。



六部の歴史的背景

六部の制度は、隋代(581年 - 618年)に始まり、唐代に発展しました。この制度は、中央政府の効率的な運営を目的として設計され、各部が専門分野に特化することで、行政の効率化と専門性の向上を図りました。

唐代の中央政府は、三省(中央書省、門下省、尚書省)と六部の連携によって運営されました。三省は政策の立案と審議を行い、六部はその政策を実行する役割を担いました。このような分業体制により、唐代の中央政府は高度に組織化され、効率的に機能しました。

六部の意義と影響

唐の六部制度は、中央政府の効率的な運営を支える重要な制度でした。この制度により、各部が専門分野に特化することで、行政の効率化と専門性の向上が図られました。また、六部の分業体制により、政策の立案と実行が迅速かつ効果的に行われました。

六部制度は、唐代以降の中国の歴代王朝にも影響を与えました。宋代(960年 - 1279年)や明代(1368年 - 1644年)、清代(1644年 - 1912年)においても、六部制度は引き続き採用され、中央政府の運営において重要な役割を果たしました。

さらに、六部制度は、朝鮮やベトナムなどの周辺国にも影響を与えました。これらの国々は、中国の六部制度を模倣し、自国の行政制度に取り入れました。

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