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百人一首『今はただ思ひ絶えなむとばかりを人づてならで言ふよしもがな』現代語訳と解説 |
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著作名:
走るメロス
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今はただ 思ひ絶えなむ とばかりを 人づてならで 言ふよしもがな
このテキストでは、百人一首に収録されている歌「今はただ思ひ絶えなむとばかりを人づてならで言ふよしもがな」のわかりやすい現代語訳・口語訳と解説(句切れの有無など)、そして品詞分解を記しています。この歌は、百人一首の他に後拾遺和歌集にも収録されています。
百人一首は、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて活動した公家・藤原定家が選んだ和歌集です。100人の歌人の和歌を、1人につき1首ずつ選んで作られています。
今はただ 思ひ絶えなむ とばかりを 人づてならで 言ふよしもがな
いまはただ おもひたえなむ とばかりを ひとづてならで いふよしもがな
今となってはただもう、(あなたのことを)あきらめようということだけを、人づてではなく(あなたに直接)言う方法があったらなぁ
この歌の詠み手は、藤原道長の甥である藤原伊周(ふじわら の これちか)の息子、藤原道雅(ふじわら の みちまさ)です。百人一首では左京大夫道雅(さきょう の だいふみちまさ)となっています。乱暴や狼藉が絶えなかったために、世上荒三位や悪三位などといった悪名で呼ばれました。
後拾遺和歌集詞書によると、恋仲にあった当子内親王との関係を無理やり三条天皇(当子内親王の父)に引き裂かれたときに詠んだ歌となっています。この逸話については栄花物語に、仲を裂かれた当子内親王は病により出家してしまったことが小右記に書かれています。
句切れなし。
※名詞は省略しています。
今 | ー |
は | 係助詞 |
ただ | 副詞 |
思ひ絶え | ヤ行下二段活用「おもひたゆ」の連用形 |
な | 確述の助動詞「ぬ」の未然形 |
む | 意志の助動詞「む」の終止形 |
と | 格助詞 |
ばかり | 副助詞 |
を | 格助詞 |
人づて | ー |
なら | 断定の助動詞「なり」の未然形 |
で | 接続助詞 |
言ふ | ハ行四段活用「いふ」の連体形 |
よし | ー |
もがな | 詠嘆の終助詞 |
学生時代より古典の魅力に取り憑かれ、社会人になった今でも休日には古典を読み漁ける古典好き。特に1000年以上前の文化や風俗をうかがい知ることができる平安時代文学がお気に入り。作成したテキストの総ページビュー数は1,6億回を超える。好きなフレーズは「頃は二月(にうゎんがつ)」や「月日は百代の過客(くゎかく)にして」といった癖のあるやつ。早稲田大学卒業。
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