ファラオとは、紀元前3100年頃に上エジプトと下エジプトを統一したナルメル王以降、エジプトを統治した王のことです。ファラオという言葉は、もともと「大きな家」を意味するエジプト語の「ペル・アア」から来ており、当初は王宮を指していました。しかし、新王国時代（紀元前1539年から1292年）になると、エジプトの王を指すようになりました。ファラオは、神々と人間の世界の仲介者としての神聖な地位を持っていました。死後は神となり、オシリス神の化身とされ、その権力と地位を息子である新しいファラオに引き継ぎました。



ファラオは、神が与えた秩序であるマアトを守る神聖な支配者でした。ファラオはエジプトの土地の大部分を所有し、その利用を指揮しました。また、国民の経済的・精神的な福祉に責任を持ち、正義を行いました。ファラオの意志は絶対的であり、王令によって統治しました。しかし、公正に統治するためには、責任を委任する必要がありました。ファラオの最高の補佐官は、宰相と呼ばれる人物でした。宰相は、最高裁判官、財務長官、全記録の監督などの職務を果たしました。宰相の下には、上エジプトと下エジプトに分けられた州（ノモス）ごとに、王の意志を執行する役人がいました。

ファラオの正式な称号は、五つの名前からなり、それぞれ次のような称号で始まりました。ホルス名、二人の女神名、金のホルス名、上下エジプト王名、ラーの子名です。最後の名前は、ファラオが生まれたときに与えられたもので、他の名前は即位したときに与えられました。

古代エジプトの歴史には、多くの有名なファラオが登場します。その中でも特に注目すべきファラオをいくつか紹介しましょう。

ツタンカーメン：18王朝の王で、紀元前1333年から1323年にかけて治世しました。彼は19歳で死亡しましたが、彼の墓は1922年に発見されたときに intact であり、古代エジプトの文化や宗教に関する貴重な情報を提供しました。
ラムセス2世：19王朝の第3代の王で、紀元前1279年から1213年にかけて治世しました。彼はエジプト史上最も長く治めた王の一人であり、ヒッタイトやリビアとの戦争で勝利を収め、エジプトの領土と権威を拡大しました。彼は多くの建築物や像を残し、自らの偉業を誇示しました。
アクエンアテン：18王朝の王で、紀元前1353年から1336年にかけて治世しました。彼は太陽の円盤であるアトンを唯一の神として崇拝し、伝統的なアモン神殿を閉鎖し、新しい首都アケタテン（現在のアマルナ）を建設しました。彼の宗教改革は、エジプトの社会や芸術に大きな影響を与えましたが、彼の死後には元の状態に戻されました。