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国家の成立 世界史用語66
著作名: ピアソラ
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国家の概要と成立

国家とは、大規模で人口の多い、政治的に中央集権的で社会的に階層化された政体で、強力な支配者によって統治されるものを指します。考古学者は、主に内部的な発展過程によって独自に進化した初期の国家(原初国家)と、他の既存の国家の影響を受けて間接的にまたは直接的に出現した後期の国家(二次国家)とを区別します。最も古い原初国家は、紀元前3700年頃にメソポタミア、紀元前3000年頃にエジプト、紀元前前2300~前2000年頃にインダス川流域、紀元前5000~前3000年頃に中国に現れました。これらの原初国家は、貿易、戦争、移住、イデオロギーなどのさまざまな方法で周辺の未発達な地域と交流し、アナトリアのヒッタイト、エーゲ海のミノアやミケーネ、スーダンのヌビア王国などの二次国家の出現を促しました。



古代国家の成立には、さまざまな要因が関与していましたが、ここでは主に以下の4つの側面に焦点を当てます。

環境と資源:古代国家は、一般に農業に適した肥沃な土地や水源に近い場所に発展しました。しかし、資源の豊富さだけではなく、資源の分布や変動も重要な役割を果たしました。例えば、メソポタミアでは、洪水の不規則さや灌漑の必要性が、農民たちに協力や調整を求めました。また、エジプトでは、ナイル川の定期的な洪水が、農業生産を安定させるとともに、国家の統一や管理を促しました。資源の不足や競争も、国家の拡大や軍事的な衝突の原因となりました。例えば、インダス文明では、気候の乾燥化や森林の減少が、国家の衰退や移動の要因となりました。
社会組織と政治権力:古代国家は、社会的に階層化された集団であり、支配者や貴族、神官、官僚、軍人、職人、農民などの異なる役割や地位を持つ人々が存在しました。支配者は、神聖な起源や権威を主張し、神々との関係や儀式を通じて、国家の正統性や統合性を維持しようとしました。また、法律や制度、記録や文書などの手段を用いて、国家の運営や管理を行いました。しかし、支配者の権力は、常に安定していたわけではありません。国家の内部では、社会的な不平等や不満が、反乱や革命の原動力となることがありました。国家の外部では、他の国家や集団との競争や衝突が、国家の拡大や衰退の要因となることがありました。

経済と交流:古代国家は、農業を基盤とする経済を持っていましたが、それだけではなく、手工業や商業も重要な役割を果たしました。国家は、自らの領域内や外部の地域との間に、物資や人々、情報や文化などの交流を行いました。交流は、国家の発展や繁栄に寄与するとともに、国家の多様性や複雑性を高めました。例えば、ローマ帝国では、地中海を中心とした広大な領域を支配し、道路や水道などのインフラを整備し、貨幣や法律などの制度を統一し、多くの民族や文化を包摂しました。しかし、交流は、国家の危機や衰退にもつながることがありました。例えば、ギリシア文明では、ポリス(都市国家)間の貿易や同盟が、政治的な対立や戦争の原因となりました。





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