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百人一首『吹くからに秋の草木のしをるればむべ山風をあらしといふらむ』現代語訳と解説(掛詞など) |
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著作名:
走るメロス
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吹くからに 秋の草木の しをるれば むべ山風を あらしといふらむ
このテキストでは、百人一首に収録されている歌「吹くからに秋の草木のしをるればむべ山風をあらしといふらむ」の現代語訳・口語訳と解説(掛詞など)、そして品詞分解を記しています。この歌は、百人一首の他に、古今和歌集にも収録されていますが、古今和歌集では「吹くからに野辺の草木のしをるればむべ山風をあらしといふらむ」となっています。
百人一首は、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて活動した公家・藤原定家が選んだ和歌集です。100人の歌人の和歌を、1人につき1首ずつ選んで作られています。
吹く(※1)からに 秋の草木の (※2)しをるれば (※3)むべ山風を (※4)あらしといふらむ
ふくからに あきのくさきの しをるれば むべやまかぜを あらしといふらむ
吹くとすぐに草木がしおれるので、なるほど、(それで)山(から吹きおろす)風のことを「荒らし」(すなわち嵐)というのだろう。
この歌の詠み手は、三十六歌仙の一人、文屋康秀(ふんや の やすひで)です。小野小町といい関係にあったと言われています。
「山」と「風」をあわせると「嵐」という文字ができます。そのような言葉遊びを、秋の嵐にかけて詠んだユーモアにあふれる歌です。
(※1)からに | 接続助詞。ここでは「~と同時に、~するとすぐに」と訳す。 |
(※2)しをるれ | 「しおれる」を意味するラ行下二段活用の動詞「しをる」の已然形。 |
(※3)むべ | 副詞。「なるほど」や「いかにも」と訳す。 |
(※4)あらし | 名詞「嵐」とク活用の形容詞「あらし」(終止形)の掛詞 |
「掛詞」とは、ひとつの言葉に2つ以上の意味を重ねて表現内容を豊かにする技法のこと。ここでは「あらし」が、「荒らし」と「嵐」の掛詞になっている。
なし。
※名詞は省略しています。
吹く | カ行四段活用「ふく」の連体形 |
からに | 接続助詞 |
秋 | ー |
の | 格助詞 |
草木 | ー |
の | 格助詞 |
しをるれ | ラ行下二段活用「しをる」の已然形 |
ば | 接続助詞 |
むべ | 副詞 |
山風 | ー |
を | 格助詞 |
あらし | 名詞「嵐」とク活用の形容詞「あらし」(終止形)の掛詞 |
と | 格助詞 |
いふ | ハ行四段活用「いふ」の終止形 |
らむ | 現在推量の助動詞「らむ」の終止形 |
学生時代より古典の魅力に取り憑かれ、社会人になった今でも休日には古典を読み漁ける古典好き。特に1000年以上前の文化や風俗をうかがい知ることができる平安時代文学がお気に入り。作成したテキストの総ページビュー数は1,6億回を超える。好きなフレーズは「頃は二月(にうゎんがつ)」や「月日は百代の過客(くゎかく)にして」といった癖のあるやつ。早稲田大学卒業。
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