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古文単語「きこえさす/聞こえさす」の意味・解説【サ行下二段活用】
著作名: 走るメロス
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きこえさす/聞こえさす

このテキストでは、サ行下二段活用の動詞「きこえさす」の意味、活用、解説とその使用例を記しています。
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「きこえさす」には
①サ行四段活用「聞こえ止す」(「言ひ止す」の謙譲語)
②サ行下二段活用「聞こえさす」
③ヤ行下二段活用「聞こゆ」+使役の助動詞「さす」
などの活用があるが、ここでは「②サ行下二段活用」を扱います。



サ行下二段活用

未然形きこえさせ
連用形きこえさせ
終止形きこえさす
連体形きこえさする
已然形きこえさすれ
命令形きこえさせよ


意味1:他動詞

(「言ふ」の謙譲語で)
申し上げる

[出典]道真の左遷 大鏡
「 つれづれに籠もらせたまへらむほど、何とはべらぬ昔物語も、 参りて、聞こえさせむと思うたまへれど...」

[訳]:所在なくお引き籠もりになっていらっしゃる間、何ということもございません昔話でも、参上して、申し上げようと存じますが...


意味2:他動詞

(手紙などを)差し上げる

[出典]:さしたる事なくて 徒然草
「文も、『久しく聞えさせねば。』などばかり言ひおこせたる、いとうれし。」

[訳]:手紙も、「長いこと差し上げないので。」などぐらいに言ってこちらによこしたのは、本当に嬉しいことです。




意味3:補助動詞

(動詞及び特定の助動詞の連用形について)
お〜申し上げる

[出典]:行幸 源氏物語
「今年となりては、頼み少なきやうにおぼえはべれば、今一度、かく見たてまつりきこえさすることもなくてやと、心細く思ひたまへつるを...」

[訳]:今年となっては、長く生きられそうにないように思われますので、もう一度、このように目にかかり申し上げることもないのではなかろうかと、心細く存じておりましたが...


「聞こゆ」と「聞こえさす」

「聞こえさす」はヤ行下二段活用「聞こゆ」の未然形と使役の助動詞「さす」が一語になったものと考えられる。このテキストで扱った「聞こえさす」は、一語化して使役「さす」の意味が失われているが、「聞こゆ」と「さす」がそれぞれ独立して使役の意味が残っている場合もある。その場合は「申し上げさせる」と訳す。

ちなみに「聞こゆ」と「聞こえさす」とでは、「聞こえさす」のほうが敬意が高い。

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