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古文単語「こむ/籠む/込む」の意味・解説【マ行四段活用/マ行下二段活用】
著作名: 走るメロス
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「こむ/籠む/込む」の意味・活用・使用例【マ行四段活用/マ行下二段活用】

このテキストでは、古文単語「こむ/籠む/込む」の意味、活用、解説とその使用例を記している。

「こむ」には、
①マ行四段活用
②マ行下二段活用
の用法がある。

①マ行四段活用

未然形こま
連用形こみ
終止形こむ
連体形こむ
已然形こめ
命令形こめ


意味1:自動詞

大勢で混雑する、ぎっしり詰まる

[出典]:紫式部日記
「人げ多く込みては、いとど御心地も苦しうおはしますらむとて...」

[訳]:人が多く混雑しては、(中宮様も)ますますご気分も悪くていらっしゃるだろうと思って...


意味2:自動詞

手間がかかる

[出典]:子盗人
「隅から隅までも手の込うだ能い普請でござる。」

[訳]:隅から隅まで手間がかかったよい建物でございます。




意味3:自動詞

承知する、分かる

[出典]:浮世風呂
「おっと皆まで言はんすな。込んでいる。」

[訳]:おっと最後までおっしゃるな。分かっておる。


意味4:他動詞

(刀を)突きさす、(矢を)射込む

[出典]:太平記
「物具のはづれ、内冑を散々に込めければ...」

[訳]:鎧に覆われていない場所や兜の内側に激しく(矢を)射込んだので...




意味5:補助動詞

ぞくぞく~する

※この用法の場合、動詞の連用形に付いて用いられる。
[出典]:夜の目覚
「上達部、殿上人参りこみて、いともの騒がしきに...」

[訳]:上達部や殿上人がぞくぞくと参上するので、たいそうあわただしいのですが...


意味6:補助動詞

~入れる、~こむ

[出典]:帚木 源氏物語
「をかしき故事をも、はじめより取り込みつつ...」

[訳]:おもしろい故事をも、初句から(歌に)取り入れては...




②マ行下二段活用

未然形こめ
連用形こめ
終止形こむ
連体形こむる
已然形こむれ
命令形こめよ


意味1:自動詞

(霧や霞が一面に)
立ち込める

[出典]:花桜折る少将 堤中納言物語
「暮れゆくほどの空、いたう霞籠めて...」

[訳]:日の暮れていくころの空が、すばらしく一面に霞が立ち込めて...


意味2:他動詞

閉じ込める、中に入れる

[出典]若紫・北山の垣間見 源氏物語
「雀の子を犬君が逃がしつる。伏籠のうちに籠めたりつるものを。」

[訳]:雀の子を犬君が逃がしてしまったの。籠の中に入れておいたのに。




意味3:他動詞

中にしまう、納める

[出典]:北野の山 増鏡
「后の宮みづから書かせたまへる願文入れて、神殿にこめられけり。」

[訳]:皇后ご自身がお書きになられた祈願文を入れて、神殿にお納めになりました。


意味4:他動詞

(心の中に)隠す、秘める

[出典]:玉鬘 源氏物語
「かく御心に籠めたまふことありけるを、恨みきこえたまふ。」

[訳]:このようにお心をお秘めになることがあったことを、(紫の上は)お恨み申し上げなさいます。


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