更新日時:
|
|
平家物語原文全集「二代后 3」 |
|
著作名:
古典愛好家
8,769 views |
大宮かくと聞こし召されけるより、御涙に沈ませおはします。
「先帝に後れ参らせにし久寿の秋のはじめ、同じ野原の露とも消え、家をも出で、世をものがれたりせば、今かかる憂き耳をば聞かざらまし」
とぞ、御嘆きありける。父の大臣こしらへ申させ給ひけるは、
「「世に従はざるをもって、狂人とす」
と見えたり。既に詔命を下さる。子細を申すにところなし。ただ速やかに参らせ給ふべきなり。もし王子御誕生ありて、君も国母(こくも)といはれ、愚老も外祖とあふがるべき瑞相にてもや候ふらむ。これひとへに愚老をたすけさせおはします、御孝行の御いたりなるべし」
と見えたり。既に詔命を下さる。子細を申すにところなし。ただ速やかに参らせ給ふべきなり。もし王子御誕生ありて、君も国母(こくも)といはれ、愚老も外祖とあふがるべき瑞相にてもや候ふらむ。これひとへに愚老をたすけさせおはします、御孝行の御いたりなるべし」
と申させ給へども、御返事もなかりけり。大宮そのころ、なにとなき御手習ひのついででに
うきふしにしづみもやらでかは竹の 世にためしなき名をやながさん
世にはいかにしてもれけるやらむ、哀れにやさしきためしにぞ、人々皆申しあへりける。
続き
このテキストを評価してください。
役に立った
|
う~ん・・・
|
※テキストの内容に関しては、ご自身の責任のもとご判断頂きますようお願い致します。 |
|
平家物語原文全集「二代后 2」
>
平家物語原文全集「二代后 4」
>
平家物語原文全集「願立 5」
>
平家物語原文全集「清水寺炎上 2」
>
枕草子 原文全集「にくきもの」
>
枕草子 原文全集「陀羅尼は/遊びは/遊びわざは/舞は/」
>
蜻蛉日記原文全集「木陰いとあはれなり」
>
最近見たテキスト
平家物語原文全集「二代后 3」
10分前以内
|
>
|
デイリーランキング