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蜻蛉日記原文全集「かくて月はてぬれば」 |
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著作名:
古典愛好家
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蜻蛉日記
かくて月はてぬれば
又の日も、まだしきに
「昨日はうそぶかせ給ふことしげかんめりしかば、えものもきこえずなりにき。いまのあひだも御いとまあらば、おはしませ。上のつらくおはしますこと、さらにいはんかたなし。さりともいのち侍らば世の中は見給へてん。死なばおもひくらべてもいかがあらん。よしよしこれはしのびこと」
とて、みづからはものせず。
又二日許ありて、まだしきに、
「よくきせん、そなたにやまゐり来(く)べき」
などあれば、
「はやうものせよ。ここにはなにせんに」
とて、出だし立つ。例の
「なにごともなかりつ」
とて帰りきたりぬ。
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