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雲崗とは わかりやすい世界史用語575
著作名: ピアソラ
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雲崗とは

雲崗は、北魏の時代に石窟寺院が作られた山西省大同市の地です。雲崗石窟は、中国の山西省大同市の西約16キロメートルに位置する、北魏時代に建設された仏教寺院の石窟群です。この石窟群は、中国の古代仏教彫刻の三大名所の一つであり、他の二つは敦煌の莫高窟と洛陽の龍門石窟です。雲崗石窟は、494年の洛陽遷都まで多くの石窟が開かれた中国の石彫刻の優れた例であり、2001年にはユネスコの世界遺産に登録されました。

歴史的背景

北魏時代(386年 - 534年)は、中国の歴史において重要な時期であり、特に仏教の普及と発展に大きな影響を与えました。北魏は、拓跋氏によって建国され、当初は遊牧民族の国家でしたが、後に中国の中原地域を支配するようになりました。北魏の皇帝たちは仏教を国家宗教として採用し、その結果、多くの仏教寺院や石窟が建設されました。

雲崗石窟の建設は、北魏の首都であった平城(現在の大同市)において始まりました。平城は、シルクロードの北ルートに位置しており、仏教がこの地域に伝わる重要な経路となっていました。雲崗石窟の彫刻は、南アジアや中央アジアの仏教芸術と中国の文化的伝統が融合したものであり、その芸術的価値は非常に高いとされています。

石窟の構造と特徴

雲崗石窟は、南向きの砂岩の崖に掘られた53の主要な洞窟と、約51,000体の仏像を収めた多数の小洞窟から構成されています。これらの洞窟は、約1キロメートルにわたって広がっており、彫刻の総面積は1.8ヘクタール以上に及びます。

主要な洞窟

第5洞窟と第6洞窟: これらの洞窟は、465年から494年の間に掘られたもので、雲崗石窟の中でも最も印象的なものです。第5洞窟には、高さ17メートルの仏像があり、これは雲崗石窟で最大の仏像です。第6洞窟には、大きな仏像の他に、釈迦の生涯を描いた33のレリーフ彫刻があります。
第7洞窟と第8洞窟: これらの洞窟も、471年から494年の間に掘られたもので、雲崗石窟の中でも初期の連洞です。第7洞窟には、特に目を引く彫刻群があり、「雲崗六美人」として知られる6体の西洋風の彫像があります。
第9洞窟から第13洞窟: これらの洞窟は「五華洞」として知られ、雲崗石窟の中でも唯一の彩色彫刻が見られます。第11洞窟には、337文字の碑文があり、これは雲崗石窟の中で最も古く、最も多くの文字が刻まれた碑文です。



芸術的価値と影響

雲崗石窟の彫刻は、その規模と精緻さから、中国の仏教芸術の中でも特に重要な位置を占めています。これらの彫刻は、仏教の宗教的象徴と中国の文化的伝統が見事に融合したものであり、その芸術的価値は非常に高いとされています。ユネスコは、雲崗石窟を「初期中国仏教洞窟芸術の傑作」として評価しており、その彫刻は南アジアや中央アジアの仏教芸術と中国の文化的伝統が成功裏に融合したものであるとしています。

現代における雲崗石窟

現在、雲崗石窟は中国国家観光局によってAAAAA級(最高)の観光地に指定されており、多くの観光客が訪れる人気のスポットとなっています。また、雲崗石窟はその歴史的価値と芸術的価値から、学術的な研究の対象ともなっており、多くの研究者が訪れてその彫刻や碑文を研究しています。

雲崗石窟は、その壮大な規模と精緻な彫刻によって、当時の栄華を今に伝え、北魏時代の仏教芸術の粋を集めたこの石窟群は、中国の歴史と文化を理解する上で欠かせない重要な遺産となっています。

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