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蜻蛉日記原文全集「あるところにしのびておもひたつ」 |
著作名:
古典愛好家
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蜻蛉日記
あるところにしのびておもひたつ
あるところにしのびておもひたつ。
「なに許(ばかり)ふかくもあらず」
といふべきところなり。野焼きなどするころの、花はあやしうおそきころなれば、をかしかるべき道なれどまだし。いと奥山は鳥のこゑもせぬものなりければ、うぐひすだにおとせず、水のみぞめづらかなるさまにわきかへりながれたる。いみじうくるしきままに、かからであるひともありかし、うき身ひとつをもてわづらふにこそはあめれと思ふ思ふ、入相(いりあひ)つくほどにぞいたりあひたる。みあかしなどたてまつりて、ひととき許たちゐするほど、いとどくるしうて、夜あけぬときくほどに、雨ふりいでぬ。いとわりなしとおもひつつ、法師の坊にいたりて、
「いかがすべき」
などいふほどに、こととあけはてて、
「蓑(みの)、笠(かさ)や」
と人はさはぐ。我はのどかにてながむれば、前なる谷より雲しづしづとのぼるに、いとものがなしうて、
おもひきやあまつそらなるあまぐもを そでしてわくる山ふまんとは
とぞおぼえけらし。雨いふかたなけれど、さてあるまじければ、とかうたばかりて出でぬ。あはれなる人の、身にそひて見るぞ、我くるしさもまぎる許、かなしうおぼえける。
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