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『マハーバーラタ』とは わかりやすい世界史用語811
著作名: ピアソラ
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『マハーバーラタ』とは

マハーバーラタは、インドの古代叙事詩であり、ヒンドゥー教の重要な宗教文献の一つです。この壮大な物語は、パーンダヴァとカウラヴァという二つの王族の間で繰り広げられる戦争を中心に展開され、多くの哲学的、宗教的な教えが含まれています

マハーバーラタの概要

マハーバーラタは、4世紀末から5世紀の間に現在の形にまとめられたとされ、全体で約10万詩節(シュローカ)から成る世界最長の叙事詩です。この物語は、ヴェーダの賢者ヴィヤーサによって編纂されたと伝えられています。



物語の構成

マハーバーラタは、18のパルヴァ(巻)に分かれており、それぞれが異なるエピソードや教訓を含んでいます。主な内容は以下の通りです:

アーディ・パルヴァ:物語の序章であり、主要な登場人物や背景が紹介されます。
サバ・パルヴァ:パーンダヴァとカウラヴァの間で行われた賭博のエピソードが描かれています。
アーラニヤカ・パルヴァ:パーンダヴァが森で過ごす12年間の追放生活が描かれています。
ヴィラタ・パルヴァ:パーンダヴァがヴィラタ王国での隠遁生活を送るエピソードです。
ウッディヨガ・パルヴァ:戦争の準備と交渉が描かれています。
ビーシュマ・パルヴァ:クルクシェートラ戦争の初期の戦闘が描かれています。
ドローナ・パルヴァ:ドローナが戦争の指揮を執るエピソードです。
カルナ・パルヴァ:カルナが戦争の指揮を執るエピソードです。
シャリヤ・パルヴァ:シャリヤが戦争の指揮を執るエピソードです。
サウプティカ・パルヴァ:アシュヴァッターマンが夜襲を行うエピソードです。
ストリ・パルヴァ:戦争後の女性たちの悲しみが描かれています。
シャーンティ・パルヴァ:戦争後の平和と統治についての教えが含まれています。
アヌシャーサナ・パルヴァ:道徳と倫理についての教えが含まれています。
アシュヴァメーダ・パルヴァ:ユディシュティラがアシュヴァメーダ祭を行うエピソードです。
アシュラマヴァシカ・パルヴァ:ドリタラーシュトラとガーンダーリーの隠遁生活が描かれています。
マウサラ・パルヴァ:ヤーダヴァ族の滅亡が描かれています。
マハープラースターナ・パルヴァ:パーンダヴァの最期の旅が描かれています。
スワルガーローハナ・パルヴァ:ユディシュティラの天界への昇天が描かれています。
バガヴァッド・ギーター

マハーバーラタの中でも特に重要な部分が「バガヴァッド・ギーター」です。これは、クルクシェートラ戦争の開戦前夜に、アルジュナとクリシュナ神の対話を記録したもので、ヒンドゥー教の哲学と倫理の核心を成しています。アルジュナが戦争に対する疑問や恐れを抱く中で、クリシュナは彼にダルマ(義務)とバクティ(信仰)の重要性を説きます。

主要な登場人物

マハーバーラタには、多くの重要な登場人物が登場します。以下に、主要な人物を紹介します:

パーンダヴァ:ユディシュティラ、ビーマ、アルジュナ、ナクラ、サハデーヴァの五兄弟。彼らは正義とダルマを象徴しています。
カウラヴァ:ドゥルヨーダナを中心とする百人の兄弟。彼らは欲望と不正を象徴しています。
クリシュナ:ヴィシュヌ神の化身であり、アルジュナの友人兼導師。彼は物語の中で重要な役割を果たします。
ビーシュマ:カウラヴァ側の偉大な戦士であり、誓いを立てて生涯独身を貫いた人物。
ドローナ:カウラヴァ側の軍師であり、パーンダヴァとカウラヴァの師。
カルナ:パーンダヴァの兄弟でありながら、カウラヴァ側に立つ悲劇的な英雄。
マハーバーラタの影響

マハーバーラタは、インドの文化、宗教、哲学に深い影響を与えました。この叙事詩は、ヒンドゥー教の教義や倫理観を形成する上で重要な役割を果たし、インドの文学や芸術にも大きな影響を与えました。また、マハーバーラタは、インド以外の地域、特に東南アジアや中央アジアの文化にも影響を与えました。

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