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蜻蛉日記原文全集「さて九月ばかりになりて」
著作名: 古典愛好家
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蜻蛉日記

さて九月ばかりになりて

さて九月ばかりになりて、出でにたるほどに、箱のあるを手まさぐりにあけて見れば、人のもとにやらんとしける文あり。あさましさに、見てけりとだに知られんと思ひてかきつく。

うたがはしほかにわたせるふみみれば ここやとだえにならんとすらん

など思ふほどに、むべなう十月つごもりがたに三夜(みよ)しきりて見えぬときあり。つれなうて

「しばし心みるほどに」


など、けしきあり。           
              
               
                

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