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蜻蛉日記原文全集「かくてあまたある中にも」 |
著作名:
古典愛好家
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蜻蛉日記
かくてあまたある中にも
かくて、あまたある中にも、たのもしきものに思ふ人、この夏よりとほくものしぬべきことのあるを、
「服(ぶく)はてて」
とありつれば、このごろ出でたちなんとす。これを思ふに、心ぼそしと思ふにもおろかなり。今はとて出でたつ日、わたりて見る。裝束ひとくだりばかり、はかなき物など、硯箱ひとよろひにいれて、いみじうさわがしうののしりみちたれど、我もゆく人も目も見あはせずただむかひゐて涙をせきかねつつ、みな人は、
「など」、
「念ぜさせ給へ」、
「いみじういむなり」
などぞいふ。されば車にのりはてんを見むはいみじからんと思ふに、家より
「とくわたりね。ここにものしたり」
とあれば、車よせさせてのるほどに、ゆく人は二藍(ふたい)の小袿(こうちぎ)なり、とまるはただ薄物の赤朽葉(あかくちば)をきたるを、ぬぎかへてわかれぬ。九月十余日のほどなり。家にきても、
「などかく、まがまがしく」
と、とがむるまでいみじう泣かる。
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