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18_80 イスラーム世界の形成と拡大 / イスラーム世界の発展

バイバルスとは わかりやすい世界史用語1554

著者名: ピアソラ
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バイバルスとは

マムルークは奴隷出身でありながら、軍事的に優れた能力を持ち、特にバイバルスの治世下でその能力が顕著に発揮されました。彼は1260年から1277年までの間に、モンゴル軍や十字軍に対して数々の勝利を収め、イスラム世界の防衛に大きく貢献し、バイバルスの戦略と指導力は、マムルーク朝の軍事的成功の基盤となりました。

マムルーク朝は、奴隷兵士が支配階級に昇進する独特の社会構造を持っており、彼らは、軍事的および政治的な力を行使し、エジプトとシリアを支配しました。このような社会構造は、他の王朝とは異なり、マムルークたちが自らの地位を確立するための重要な要素となりました。



バイバルスの台頭

バイバルスは1223年頃、黒海北部のキプチャクで生まれました。彼はバラリ族の一員であり、モンゴルの侵攻によって家族を失い、奴隷として売られる運命にありました。このような混沌とした状況の中で、彼はエジプトにたどり着き、そこで新たな人生を始めることになります。彼の出自は、後の彼の軍事的成功や政治的手腕に大きな影響を与えることになります。

エジプトに到着したバイバルスは、軍事訓練を受け、優れた軍事能力を示しました。彼は特にモンゴル軍の侵攻を撃退することで名声を得、マムルークの指揮官に任命されました。この時期、彼の軍事的才能は顕著に発揮され、彼はエジプトの防衛において重要な役割を果たしました。

1260年、バイバルスはクトゥズを暗殺し、マムルーク朝の第四代スルタンとして即位しました。彼の即位は、十字軍の影響力を排除し、エジプトとシリアの統一を進める重要な転機となりました。彼は、マムルーク朝の権力を強化し、地域の安定を図るための基盤を築きました。

バイバルスは、シリアとエジプトを統一し、十字軍やモンゴルに対抗するための軍事力を強化しました。彼はエジプトの官僚制度を階層的に組織し、さまざまなアミールの役職を設けることで、効率的な統治を実現しました。また、カイロのインフラを改善し、シリアやモンゴルとの外交関係にも注力しました。

バイバルスは、カイロにアッバース朝のカリフを復活させ、宗教的権威を高めました。彼はイスラムの原則を実施し、信仰の強化を図ることで、マムルーク朝の正当性を確立しました。このようにして、彼はエジプトにおける宗教的な権威を強化し、イスラム世界における地位を確立しました。

軍事的業績

バイバルスは1260年のアイン・ジャールートの戦いでモンゴル軍を破り、イスラム世界を守り、この戦いは、モンゴル帝国の侵攻を食い止める重要な転機となり、バイバルスの指導力が際立った瞬間でした。彼の勝利は、マムルーク朝の軍事的優位性を確立し、地中海東部におけるマムルークの支配時代の幕開けを告げ、バイバルスの戦略的な指導は、彼の治世を通じてマムルーク軍の強化に寄与し、彼の名声を高める要因となりました。

バイバルスは十字軍に対しても多くの勝利を収め、1268年にはアンティオキアを占領し、彼の指導の下、マムルーク軍はフランス王ルイ9世の指導する第七回十字軍に対しても決定的な勝利を収め、これにより十字軍の影響力を大きく削ぐことに成功しました。バイバルスの戦術は、敵を巧みに誘導し、決定的な瞬間に攻撃を仕掛けるものであり、彼の軍事的才能を証明するものでした。

バイバルスは新たな兵器や戦術を導入し、軍事力を強化し、特に、アイン・ジャールートの戦いでは、爆発的な手銃を使用したことで、戦術の革新をもたらしました。彼はまた、エジプトのインフラを改善し、シリアやモンゴルとの外交関係にも注力し、これにより、マムルーク朝は地域の安定を図り、外敵に対する防衛力を高めました。

バイバルスはシリアの要塞を再建し、新たな軍艦や貨物船を建造し、これにより、マムルーク朝の海軍力が強化され、地中海における影響力を拡大することができました。彼の防衛体制の強化は、外敵からの侵攻に対する備えを万全にし、地域の安定を確保するための重要な施策でした。

行政改革

バイバルスはエジプトの官僚制度を整備し、行政の効率化を図りました。彼は官僚制度を階層化し、各部門に専門家を配置することで、行政の透明性と効率を向上させました。この改革により、国の運営がスムーズになり、民衆の信頼を得ることができました。バイバルスの施策は、後のスルタンたちにも影響を与え、持続可能な行政体制の基盤を築くこととなりました。

バイバルスはカイロとダマスカス間の交通を強化し、インフラの改善に努めました。彼は道路の修繕や新たな水路の建設を行い、貿易ルートの整備を進めました。これにより、国内外の商取引が活発になり、エジプトとシリアの経済が大きく発展しました。また、バイバルスは都市の防衛設備を強化し、外敵からの攻撃に備えるための体制を整えました。
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『世界史B 用語集』 山川出版社

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