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18_80 アジア・アメリカの古代文明 / インドの古代文明

ガンダーラ美術とは わかりやすい世界史用語791

著者名: ピアソラ
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ガンダーラ美術とは

ガンダーラ美術は、紀元前1世紀以降、現在のパキスタン北西部とアフガニスタン東部で発展した仏教美術の一つです。この美術様式は、ギリシャ・ローマの影響を強く受けており、特にクシャーナ朝の時代に栄えました。ガンダーラ美術は、インド古来の美術とヘレニズムの技術が融合した美術です。

ガンダーラ地方は古くから文化の交差点であり、インドのアショーカ王(紀元前3世紀)の時代には仏教の布教活動が盛んに行われました。1世紀にはクシャーナ帝国の支配下に入り、ローマとの交流もありました。このため、ガンダーラ美術にはローマ美術のモチーフや技法が多く取り入れられています。

ガンダーラ美術の彫刻には、緑色のフィライトや青灰色のミカ片岩が使用され、3世紀以降はスタッコ(漆喰)が増えていきました。これらの彫刻は元々彩色され、金箔が施されていました。ガンダーラ美術の仏像は、ローマの宗教的伝統に基づく人間の形を取り入れ、若々しいアポロのような顔立ちで描かれています。衣服はローマ帝国の彫像に見られるような衣装をまとっています。

ガンダーラ美術は、仏陀の生涯の出来事を一連の場面として構成する技術を確立し、仏教美術に大きな貢献をしました。ガンダーラとマトゥラーの両校は互いに影響を与え合い、自然主義的な表現からより理想化された抽象的なイメージへと進化していきました。

ガンダーラ美術の特徴として、仏像の螺髪が波状の長髪であり、目の縁取りが深く、西洋人のような容姿が挙げられます。衣服の皺も深く刻まれ、自然な形状をしています。これらの作品は多くがレリーフ(浮彫)であり、ストゥーパの基壇の壁面に飾られました。

ガンダーラ美術は、クシャーナ朝のカニシカ王の治世において多くの発展を遂げました。この技術はインド本土はもちろん、中央アジア、中国大陸、朝鮮半島、日本にまで伝わりました。

ガンダーラ美術は、仏教美術の中でも特に重要な位置を占めており、その影響は広範囲に及びました。ギリシャ、シリア、ペルシャ、インドの様々な美術様式を取り入れたこの美術は、仏教の伝播とともに広がり、多くの文化に影響を与えました。

このように、ガンダーラ美術は多様な文化の融合によって生まれた独特の美術様式であり、その歴史と影響は非常に興味深いものです。
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『世界史B 用語集』 山川出版社

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