半両銭とは
半両銭は、中国の歴史上初めて統一された通貨として知られており、紀元前378年に最初に鋳造されたとされています。秦の始皇帝によって紀元前210年頃に中国全土での統一通貨として導入されました。
この通貨は、中国の貨幣史において重要な役割を果たしました。それまでの中国では、様々な形状の貨幣が使用されており、刀銭や布銭などがありましたが、秦の統一後は半両銭が標準となりました。半両銭は、その名の通り半両(約12銖、約0.68グラム)の重さがあり、円形で中央に正方形の穴が開いているのが特徴です。この形状は、後の東アジアの貨幣の標準的な形となりました。
半両銭は、秦の統一以前にも使用されていましたが、秦の統一後には重量や形状が標準化され、経済活動の促進に大きく寄与しました。また、この貨幣の導入は、秦による重量や寸法の統一計画の一環でもありました。
秦の半両銭は、西漢時代まで使用され続け、紀元前118年に五銖銭に置き換えられるまで流通しました。この貨幣は、中国の貨幣史だけでなく、中国の統一と発展にも大きな影響を与えたと言えるでしょう。
半両銭の製造過程は、2つの部分からなる鋳型を使用して行われ、一度に6枚の銭を鋳造することができました。この方法は、銭に1つのみの鋳造痕を残すことになりました。秦の時代の半両銭は、小篆で書かれた文字が特徴で、一部は大篆で書かれていました。文字は縦に長く、兩の文字の上部の横線は短かったですが、漢代になるとこの横線は長くなりました。
半両銭の象徴性についても触れておきましょう。この貨幣は、統一と標準化の象徴であり、円形で中央に正方形の穴がある形状は、「天は円く地は方である」という古代中国の世界観を表していました。また、銅と錫の合金で作られており、銅は古代中国で繁栄と幸運の象徴とされていました。さらに、半両銭の鋳造と使用は、秦の宗教的信仰や神話伝説とも関連しており、神秘性と権力を象徴していました。