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十八史略『荊軻』(軻至咸陽〜)書き下し文・現代語訳と解説

著者名: 走るメロス
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現代語訳(口語訳)

軻咸陽に至る。
荊軻は咸陽に到着しました。

秦王政大いに喜び之を見る。
秦の王である政は大変喜んで、これ(荊軻)に会いました。

軻図を奉じて進む。
荊軻は(督亢の)地図を捧げて前に進み出ました。

図窮まりて匕首見(あらは)はる。
地図を広げ終えようとするときに、(巻物状の地図の中に隠しておいた)匕首が表れました。

王の袖を把りて之を揕(さ)す。
(荊軻)は王の袖をとって刺そうとしました。

未だ身に及ばず。
しかしまだ王の体には届きません。

王驚き起ちて袖を絶つ。
王は驚いて立ち上がり袖を破りました。

軻之を逐ふ。
荊軻は王を追います。

柱を環(めぐ)りて走る。
(二人は)柱をぐるぐると走り回りました。

秦の法に群臣の殿上に侍する者は、尺寸(せきすん)の兵を操るを得ず。
秦の法では、家臣が王宮に登城するときは、わずかな武器を持つことも許されていませんでした。

左右手を以て之を搏(う)つ。
(そのため)側近たちは素手で荊軻のことを殴りました。

且つ曰はく、
そして言うことには、

「王剣を負へ。」と。
「王様、剣を背負ってください。」と。


遂に剣を抜きて其の左股を断つ。
(王は)とうとう剣を抜いて荊軻の左足を切りました。

軻匕首を引きて王に擿つ。
荊軻は匕首を引き寄せて王に投げつけました。

中(あ)たらず。
(しかし)あたりませんでした。

遂に体解して以て徇(との)ふ。
とうとう(秦王は荊軻の)体をばらばらにして見せしめにしました。

秦王大いに怒り、益(ますます)兵を発して燕を伐つ。
秦王はたいへん怒り、よりいっそう兵を送って燕を攻撃しました。

喜丹を斬りて以て献ず。
(燕の王であった)喜は(荊軻を仕向けた)丹を斬り殺し(秦)に献上しました。

後三年、秦兵喜を虜にし、遂に燕を滅ぼして郡と為す。
その三年後、秦の兵は喜を捕虜とし、ついに燕をを滅ぼして(秦の)郡としたのです。

単語・文法解説

未及身「未」は再読文字。「いまだ〜(せ)ず」と読み、「まだ〜(し)ない」と訳す
尺寸兵「尺寸」は「わずかの」、「兵」は「武器」を意味する
見せしめること

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・十八史略『荊軻』(軻至咸陽〜)書き下し文・現代語訳と解説

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鎌田正、米山寅太郎 著 2011 『新漢語林 第二版』大修館書店
『教科書 探求古典B 漢文編』 桐原書店

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