新規登録 ログイン

18_80 西アジア・地中海世界の形成 / 古代オリエント世界

古代オリエント 4 アッシリア、リディア、メディア、新バビロニア、エジプトの分立、アケメネス朝の興亡

著者名: ピアソラ
Text_level_2
マイリストに追加
アッシリアによるオリエント統一


ALT


オリエントの統一は、セム語系のアッシリアという帝国によって達成されます。

アッシリアは、紀元前2千年紀にメソポタミアに建国された国です。

守護神・首都の名であるアッシュールから、国名が付けられました。

アッシリアは、紀元前15世紀に、ミタンニ王国に一時的に服属しますが、その後独立を回復して、各地を征服し、紀元前670年エジプトを破り、オリエントを初めて統一します。

アッシリアの最盛期は、アッシュール=バニパル(在位紀元前668~紀元前627)の時代で、新たに首都になったニネヴェに、大図書館が建設されました。

ALT

(緑:アッシリアの最大版図)

アッシリアは世界帝国として繁栄しますが、征服地に対して過酷な支配を行ったことから各地の反乱が相次ぎ、紀元前612年、新バビロニア(カルデア)メディアによって滅ぼされます。

四王国分立

アッシリアの滅亡とともにオリエントは再び分裂し、リディア、新バビロニア(カルデア)、メディア、エジプトの4つの王国が現れます。

国名特徴
リディア小アジアに建国。世界初の鋳造貨幣を使用した。アケメネス朝キュロス2世によって滅亡。都:サルデス
新バビロニア(カルデア)アラム人の一派セム系カルデア人が建国。アケメネス朝キュロス2世によって滅亡。都:バビロン
メディア印欧系イラン人が建国。アケメネス朝キュロス2世によって滅亡。都:エクバタナ
エジプト第26王朝以降アッシリアから独立。アケメネス朝カンビュセス2世によって滅亡。


ALT

(四王国分立)

アケメネス朝ペルシアによる全オリエント統一

四王国分立の時代を終わらせたのが、アケメネス朝ペルシアです。

ペルシアとは、イランの古い呼び名のことです。


ペルシア人たちは長い間メディアの支配下にありましたが、紀元前550年にアケメネス家のキュロス2世(在位紀元前559~紀元前530)によってメディアが倒され、アケメネス朝ペルシアが建国されます。

キュロス2世はその後も征服活動を行い、紀元前546年リディアを、紀元前538年新バビロニアを滅ぼし、領土におさめます。

次のカンビュセス2世(在位紀元前530~紀元前522)は、残るエジプトを征服し、全オリエント統一を果たしました。

ダレイオス1世の治世

アケメネス朝第3代のダレイオス1世(在位紀元前522~紀元前486)の治世には、東はインダス川から、西はエーゲ海北岸に至る広大な帝国が成立します。

アケメネスの支配地域はインダス川までです。ガンジス川ではないので注意しましょう。


ダレイオス1世は広大な領土を支配するために、各地域を20ほどの州にわけ、各州にサトラップという知事を置きました。

また、王直属の王の目・王の耳という監察官が派遣され、各地のサトラップの不正や反乱がないか監督していました。

支配地域の交通にも力を入れ、アケメネス朝の首都スサから、かつてのリディアの都サルデスまで王の道という軍道を建設し、駅伝制を整備しました。

ALT

(アケメネス朝の最大版図 ピンク:王の道)

ダレイオス1世の治世では新都ペルセポリスの建設や、帝国内のさまざまな制度が確立し、アッシリアに比べ各地域に寛容な支配体制がとられたため、アケメネス朝は以後繁栄します。

アケメネス朝の滅亡

ダレイオス1世の時代に、ギリシアを侵略するためのペルシア戦争がはじめられますが、次のクセルクセス1世(在位紀元前486~紀元前465)時代にギリシアに敗北すると、次第にアケメネス朝も衰退していきます。

ギリシア戦争敗北後もアケメネス朝は帝国を維持しますが、紀元前4世紀になると各地のサトラップが反乱をおこすようになり、マケドニアのアレクサンドロス大王とのイッソスの戦い(紀元前333)・アルベロ(ガウガメラ)の戦い(紀元前331)ダレイオス3世(在位紀元前380~紀元前330)が破れると、アケメネス朝は滅亡しました。

ALT

(イッソスの戦い 左:アレクサンドロス 右:ダレイオス3世)

アケメネス朝の文化

アケメネス朝の文化の代表例がゾロアスター教です。

ゾロアスターという教祖が紀元前7世紀に始めた宗教で、善の神アフラ=マズダと悪の神アーリマンの対立から善悪二元論を教義とします。

ゾロアスター教は火を崇めたので拝火教とも言われ、北魏時代の中国に伝わり祆教(けんきょう)と呼ばれました。

ゾロアスター教の教義の一つである最後の審判は、ユダヤ教やキリスト教に影響を与えました。


また、ダレイオス1世が自らの即位の経緯とその正当性を主張する文章を刻んだベヒストゥーン碑文がつくられました。

ALT

(ベヒストゥーン碑文)

これをもとに後世のドイツ人学者グローテフェントが研究のきっかけを作り、その後イギリス人学者ローリンソン楔形文字を解読します。

アケメネス朝の滅亡とともに、古代オリエントは終わり、アレクサンドロス大王の東方遠征をきっかけにヘレニズムという新しい時代がはじまります。
Tunagari_title
・古代オリエント 4 アッシリア、リディア、メディア、新バビロニア、エジプトの分立、アケメネス朝の興亡

Related_title
もっと見る 

Keyword_title

Reference_title
『世界史図録ヒストリカ』 山川出版社
『世界史B 用語集』 山川出版社
『詳説世界史研究』 山川出版社

この科目でよく読まれている関連書籍

このテキストを評価してください。

※テキストの内容に関しては、ご自身の責任のもとご判断頂きますようお願い致します。

 

テキストの詳細
 閲覧数 89,247 pt 
 役に立った数 146 pt 
 う〜ん数 1 pt 
 マイリスト数 0 pt 

知りたいことを検索!

まとめ
このテキストのまとめは存在しません。