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百人一首『あらし吹く三室の山のもみぢ葉は竜田の川の錦なりけり』現代語訳と解説 |
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著作名:
走るメロス
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あらし吹く 三室の山の もみぢ葉は 竜田の川の 錦なりけり
このテキストでは、百人一首に収録されている歌「あらし吹く三室の山のもみぢ葉は竜田の川の錦なりけり」のわかりやすい現代語訳・口語訳と解説(歌枕、句切れの有無など)、そして品詞分解を記しています。この歌は、百人一首の他に後拾遺和歌集にも収録されています。
百人一首は、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて活動した公家・藤原定家が選んだ和歌集です。100人の歌人の和歌を、1人につき1首ずつ選んで作られています。
あらし吹く (※1)三室の山の もみぢ葉は (※2)竜田の川の (※3)錦なりけり
あらしふく みむろのやまの もみぢばは たつたのかわの にしきなりけり
嵐が吹き荒れる三室山のもみじの葉は、(風で川に舞い落ちて)竜田川の錦のようであることよ
この歌の詠み手は、平安時代中期の僧侶能因(のういん)です。百人一首では能因法師(のういんほうし)として収録されています。
詞書によると、宮中で催された歌合せの会で詠まれたものですが、下記を踏まえた歌と言われています。
神奈備の三室の山を秋行けば錦断ち切る心地こそすれ
歌枕にただならぬこがわりがあったとされる能因ならではの歌と言えるでしょう。
(※1)三室の山 | 「御室の山」とも書き、神が降臨してまつられている山のこと。ここでは奈良県の神奈備山(かんなびやま)を指している。歌枕として用いられる代表的なもののひとつ |
(※2)竜田の川 | 現在の奈良県にある川で紅葉の名所。歌枕として用いられる代表的なもののひとつ |
(※3)錦 | 川に落ちた紅葉を、色彩ゆたかで美しいものを意味する「錦」という言葉で表している |
「三室の山(三室山)」、「竜田の川(竜田川)」が歌枕。歌に詠み込まれている名所のことを歌枕という。以下に例を記す。
【逢坂の関】
これやこの行くも帰るも別れては知るも知らぬも逢坂の関
【生駒山】
君があたり見つつを居らむ生駒山雲な隠しそ雨は降るとも
句切れなし。
※名詞は省略しています。
あらし | ー |
吹く | カ行四段活用「ふく」の連体形 |
三室の山 | ー |
の | 格助詞 |
もみぢ葉 | ー |
は | 係助詞 |
竜田の川 | ー |
の | 格助詞 |
錦 | ー |
なり | 断定の助動詞「なり」の連用形 |
けり | 詠嘆の助動詞「けり」の終止形 |
学生時代より古典の魅力に取り憑かれ、社会人になった今でも休日には古典を読み漁ける古典好き。特に1000年以上前の文化や風俗をうかがい知ることができる平安時代文学がお気に入り。作成したテキストの総ページビュー数は1,6億回を超える。好きなフレーズは「頃は二月(にうゎんがつ)」や「月日は百代の過客(くゎかく)にして」といった癖のあるやつ。早稲田大学卒業。
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