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目には目を歯には歯をとは 世界史用語111
著作名: ピアソラ
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目には目を歯には歯をとは

ハンムラビ法典の目には目を歯には歯をとは、古代メソポタミアのバビロニア王ハンムラビが紀元前18世紀に制定した法律の一部です。この法律は、犯罪に対する報復として、加害者に被害者と同じ苦痛や損害を与えるという原則を定めています。例えば、法典第196条には「もし人が他人の目を潰したならば、その人の目を潰せ」とあります。このように、犯罪の種類や程度に応じて、同じ部位や財産を奪うという刑罰が規定されているのです。

この法律の目的は、社会の秩序と正義を保つことでした。ハンムラビ法典は、当時のバビロニア社会におけるさまざまな事柄について、具体的な規則や判断基準を示していました。例えば、家族関係、契約、財産、労働、債務、犯罪などに関する法律がありました。また、ハンムラビ法典は、人々の身分や階層によって、刑罰の重さや賠償の額が異なるということも明記していました。例えば、法典第199条には「もし人が自由民の歯を折ったならば、その人の歯を折れ。もし人が奴隷の歯を折ったならば、銀を1/3シェケル払え」とあります。このように、ハンムラビ法典は、バビロニア社会の階級制度を反映していたのです。

ハンムラビ法典は、世界最古の成文法の一つとして、歴史的に重要な意義を持っています。ハンムラビ法典は、紀元前18世紀にバビロニアの首都バビロンに建てられた石柱に刻まれていましたが、その後、失われてしまいました。しかし、1901年にイランのスーサで発掘された石柱の破片に、ハンムラビ法典の大部分が発見されました。現在、この石柱はパリのルーヴル美術館に展示されています。ハンムラビ法典は、古代メソポタミアの文化や社会を知る貴重な資料であり、また、人類の法制史や思想史においても、影響力のある法典の一つとして評価されています。

ハンムラビ法典の目には目を歯には歯をという原則は、現代の法律とは大きく異なります。現代の法律は、犯罪に対する刑罰は、被害者の復讐ではなく、加害者の更生や社会の安全のために行われるという考え方を基本としています。また、現代の法律は、人権や平等の観点から、人々の身分や階級にかかわらず、同じ法の下に置かれるという原則を尊重しています。しかし、ハンムラビ法典の目には目を歯には歯をという原則は、古代の人々の正義感や倫理観を表しており、その時代の社会や文化に適した法律だったとも言えます。

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