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古文単語「くるし/苦し」の意味・解説【形容詞シク活用】
著作名: 走るメロス
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くるし/苦し

このテキストでは、シク活用の形容詞「くるし/苦し」の意味、活用、解説とその使用例を記しています。

形容詞・シク活用

未然形くるしくくるしから
連用形くるしくくるしかり
終止形くるし
連体形くるしきくるしかる
已然形くるしけれ
命令形くるしかれ


意味1

(心や体が)
苦しい、つらい、切ない

[出典]:万葉集
「都なる荒れたる家にひとり寝ば旅にまさりて苦しかるべし」

[訳]:(妻を亡くした私が)都にある荒れた家で一人で寝ることは、旅以上につらいに違いない


意味2

気がかりである、心配である

[出典]二月つごもりごろに 枕草子
「皆いと恥づかしき中に、宰相の御答(いら)へを、いかでかことなしびに言ひ出でむ、と心ひとつに苦しきを、御前に御覧ぜさせむとすれど...」

[訳]:(皆気後れするほど立派な方々の中で、宰相殿へのお返事を、どうしてこともなげに口に出すことができましょうか、(いやできません、)と自分一人で考えるのは心配なので、中宮様にお目にかけようとしたのですが...




意味3

見苦しい、不快である

[出典]家居のつきづきしく 徒然草
「前栽の草木まで心のままならず作りなせるは、見る目も苦しく、いとわびし。」

[訳]:庭に植えた草木まで、自然のままではなく(手を加えて)つくり上げてあるのは、見た目も不快で、たいそう興ざめなものです。


意味4

(打消や反語の表現を伴って)
不都合である、差し障りがある

[出典]家居のつきづきしく 徒然草
「鳶のゐたらむは、何かは苦しかるべき。」

[訳]:鳶がとまっていたとしても、何か不都合なことがありましょうか、いやありません。


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