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蜻蛉日記原文全集「それよりのちもふたたび許文ものして」 |
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著作名:
古典愛好家
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それよりのちもふたたび許文ものして、ことさだまりはてぬれば、この禅師(ぜじ)たちいたりて、京にいだしたてけり。ただひとりいだしたてけんも、おもへばはかなし。おぼろげにてかくあらんや、ただ親もし見給はばなどにこそはあらめ、さ思ひたらんに、わが本(もと)にてもおなじごと見ることかたからんこと、またさともなからん時、なかなかいとほしうもあるべきかななど、思ふ心そひぬれど、いかがはせん、かくいひ契(ちぎ)りつれば思ひかへるべきにもあらず。
「この十九日よろしき日なるを」
とさだめてしかば、これむかへにものす。しのびてただきよげなる網代車(あじろぐるま)に、馬にのりたるをのこども四人、下人(しもびと)はあまたあり。大夫やがてはひのりて、後(しり)にこのことに口いれたる人とのせて、やりつ。
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