manapedia
更新日時:
蜻蛉日記原文全集「それよりのちもふたたび許文ものして」
著作名: 古典愛好家
6,867 views
蜻蛉日記

それよりのちもふたたび許文ものして

それよりのちもふたたび許文ものして、ことさだまりはてぬれば、この禅師(ぜじ)たちいたりて、京にいだしたてけり。ただひとりいだしたてけんも、おもへばはかなし。おぼろげにてかくあらんや、ただ親もし見給はばなどにこそはあらめ、さ思ひたらんに、わが本(もと)にてもおなじごと見ることかたからんこと、またさともなからん時、なかなかいとほしうもあるべきかななど、思ふ心そひぬれど、いかがはせん、かくいひ契(ちぎ)りつれば思ひかへるべきにもあらず。

「この十九日よろしき日なるを」


とさだめてしかば、これむかへにものす。しのびてただきよげなる網代車(あじろぐるま)に、馬にのりたるをのこども四人、下人(しもびと)はあまたあり。大夫やがてはひのりて、後(しり)にこのことに口いれたる人とのせて、やりつ。




このテキストを評価してください。
役に立った
う~ん・・・
※テキストの内容に関しては、ご自身の責任のもとご判断頂きますようお願い致します。