更新日時:
|
|
蜻蛉日記原文全集「廿五六日のほどに」 |
|
著作名:
古典愛好家
9,195 views |
廿五六日のほどに、西の宮の左大臣、ながされたまふ。見たてまつらんとて、天の下ゆすりて、西の宮へ人はしりまどふ。いといみじきことかなときくほどに、人にも見え給はで、逃げ出でたまひにけり。
「愛宕(あたご)になん」
「清水(きよみづ)に」
などゆすりて、つゐに尋ねいでて、ながしたてまつると聞くに、あいなしと思ふまでいみじうかなしく、心もとなき身だに、かく思ひ知りたる人は、袖をぬらさぬといふたぐひなし。あまたの御子どもも、あやしき国々の空になりつつ行くへも知らず散りぢりわかれたまふ。あるは御髪(みぐし)おろしなど、すべて、いへばおろかにいみじ。大臣も法師になりたまひにけれど、しひて帥(そち)になしたてまつりて追ひくだしたてまつる。そのころほひ、ただこのことにてすぎぬ。身のうへをのみする日記(にき)には入るまじきことなれども、かなしと思ひいりしも誰れならねば、しるしおくなり。
このテキストを評価してください。
役に立った
|
う~ん・・・
|
※テキストの内容に関しては、ご自身の責任のもとご判断頂きますようお願い致します。 |
|
蜻蛉日記原文全集「中の十日のほどに」
>
蜻蛉日記原文全集「その前の五月雨の廿余日のほど」
>
土佐日記 原文全集「海賊の恐れ」
>
蜻蛉日記原文全集「からうじて行きすぎて」
>
枕草子 原文全集「関白殿、二月廿一日に」 其の三
>
枕草子 原文全集「七月ばかりに/にげなきもの」
>
蜻蛉日記原文全集「ともあれかくもあれただいとあやしきを」
>
最近見たテキスト
蜻蛉日記原文全集「廿五六日のほどに」
10分前以内
|
>
|
デイリーランキング
注目テキスト