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蜻蛉日記原文全集「九月になりて」
著作名: 古典愛好家
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蜻蛉日記

九月になりて

九月になりて、

「世の中をかしからん。ものへ詣でせばや。かうものはかなき身のうへも申さむ」


などさだめて、いとしのびてある所にものしたり。一はさみのみてぐらにかう書きつけたりけり。まづ下の御社に、

いちしるき山ぐちならばここながら 神のけしきをみせよとぞおもふ

中のに、

いなりやまおほくのとしぞこえにける いのるしるしのすぎをたのみて

はてのに、

神がみとのぼりくだりはわぶれども まださかゆかぬここちこそすれ                                                


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