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ウィーン体制の衰退(七月革命、イギリス自由主義運動など) 受験対策問題 72 |
著作名:
レキシントン
13,731 views |
ウィーン体制の衰退で押さえておきたいポイント
※赤字部分が問題に出そうな部分です。赤色の暗記シートなどで隠して見てください。
復古王政
・ナポレオンが退位した後、ブルボン朝のルイ18世が再び即位し、1815年6月のウィーン会議で正当性を承認され、復古王政(1814~1830)がはじまった。ルイ18世はウィーン体制下で反動政治をおこなった。ルイ10世のあと即位した弟のシャルル10世は、亡命貴族の財産保障や軍隊の統帥権を獲得し、更に反動的になり、その後国民の不満をそらすために、1830年にアルジェリア出兵を行った。アルジェリアの族長アブドゥル=カーディルは奮戦したが、最終的にアルジェリアはフランス植民地となった。
・シャルル10世の反動政治に対し、議会は内閣不信任決議を出し、その後1830年7月の選挙で国王反対派が多数を占めた。これに対し、シャルル10世は7月26日に七月勅令を発布し、議会の解散、地主以外の選挙権剥奪、言論・出版統制を決定した。
七月革命
・七月勅令の発布に対し、1830年7月27日、市民や学生、労働者がブルジョワジーの支援を受け蜂起し、3日間の市街戦を戦った。この「栄光の3日間」の結果国王側は敗北し、シャルル10世はイギリスに亡命、新たにオルレアン家のルイ=フィリップを王とする七月王政(1830~1848)が成立した。これを七月革命という。
・七月革命はヨーロッパ諸国に大きな影響を与え、その後各地に広がった。オランダの支配下だった南ネーデルラント(現ベルギー)では暴動が発生し、1830年10月に独立が宣言され、レオポルド1世が国王に即位した。1831年のロンドン会議で正式に独立が承認された。ポーランドでは、ロシアに対する反乱が起きたものの、ロシア軍により鎮圧された。ドイツでも反乱がおこり、ザクセンやヘッセンで憲法が制定された。イタリアでは、カルボナリが反乱を起こしたが、オーストリア軍に鎮圧された。
イギリス自由主義運動
・1713年のユトレヒト条約で、スペインからアシエント(奴隷供給独占契約)を獲得したイギリスは、奴隷貿易を独占し、リヴァプールなどの港町が繁栄した。ところが、18世紀に人道主義の高まりがおこると、ウィルバー=フォースなどのクェーカー教徒を中心として奴隷反対運動がおこり、1807年にイギリスで奴隷貿易が禁止となり、その後1833年に植民地を含む奴隷解放令がグレイ内閣で成立し、奴隷解放が実現した。
・一方イギリス国内では、1800年にアイルランドを併合し、1801年大ブリテン=アイルランド連合王国が成立した。アイルランドにはカトリック教徒が多かったため、アイルランド人は差別された。公職に就くことができるのをイギリス国教徒に限定する審査法はその象徴であった。1828年の選挙で、カトリック協会を主導したオコンネルが議員に当選し、同年審査法廃止、翌年1829年にカトリック教徒解放法が成立した。
・イギリスの選挙は、長年地主階級が有権者で、公然と買収が行われており、産業革命に伴い人口移動がおこると、有権者に比べ議員定数が多い腐敗選挙区が増えていった。こうした選挙制度の欠陥により市民の不満が高まったため、1832年、ホイッグ党グレイ内閣により第1回選挙法改正が実現した。
・第1回選挙法改正では、腐敗選挙区の廃止や産業資本家に参政権が与えられたが、同様に参政権運動の担い手になった労働者には参政権が与えられなかったため、その後チャーティスト運動に発展した。また、政界再編もおこり、トーリー党が地主・保守的資本家を支持基盤とする保守党に、ホイッグ党が商工業ブルジョワジーを支持基盤とする自由党に変わった。
・1833年には、婦人労働や子供の労働を規制する一般工場法が制定され、1846年に穀物法が廃止された。コブデンやブライトが組織した反穀物法同盟の努力の結果穀物法が廃止されたが、これ以降1849年航海法も廃止された。こうしてイギリスはアダム=スミスやリカードが提唱し、経済活動への国家の干渉を排除しようとする自由貿易主義体制を確立していった。
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