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高校古文『思ひあまりそなたの空をながむれば霞を分けて春雨ぞ降る』現代語訳と解説・品詞分解
著作名: 走るメロス
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はじめに

このテキストでは、新古今和歌集に収録されている歌「思ひあまりそなたの空をながむれば 霞を分けて春雨ぞ降る」の原文、現代語訳・口語訳とその解説(句切れなど)、そして品詞分解を記しています。



原文

雨の降る日、女につかはしける

思ひあまりそなたの空ながむれば霞を分けて春雨ぞ降る

ひらがなでの読み方

あめのふるひ、おんなにつかはしける

おもひあまりそなたのそらをながむれば かすみをわけてはるさめぞふる

現代語訳

雨の降る日に、女に贈った(歌)

(恋しさのあまり)どうしてよいかわからなくなり、(せめともと逢えないあなたのいる)そちらの空を、物思いにふけりながらぼんやりと眺めると、霞を分けて春雨が降ることです。



解説・鑑賞のしかた

この歌は藤原俊成が詠んだものです。俊成の家集「長秋詠藻」では、この歌の詞書に「はるごろ、しのぶる事ありける女のもとにつかはしける」との記述があり、この歌が、世間には隠しておかなければならない恋の相手に贈られた歌ということがわかります。逢えない恋人のことを想う気持ちがつのり、その気持ちが抑えられなくなっている心情を表現しています。

単語

そなたの空あなたのいるそちらの空
春雨ぞ降る「ぞ~降る」で係り結びの法則


句切れ

この歌に区切れはありません。

品詞分解

※名詞は省略しています。



格助詞
降るラ行四段活用「ふる」の連体形
日、
格助詞
つかはしサ行四段活用「つかはす」の連用形
ける過去の助動詞「けり」の連体形
思ひあまりラ行四段活用「おもひあまる」の連用形
そなた代名詞
格助詞
格助詞
ながむれマ行下二段活用「ながむ」の已然形
接続助詞
格助詞
分けカ行下二段活用「わく」の連用形
接続助詞
春雨
係助詞
降るラ行四段活用「ふる」の連体形


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