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山部赤人『ぬばたまの夜のふけゆけば久木生ふる清き川原に千鳥しば鳴く』現代語訳と解説・品詞分解
著作名: 走るメロス
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はじめに

ぬばたまの夜のふけゆけば久木生ふる清き川原に千鳥しば鳴く


このテキストでは、万葉集に収録されている和歌「ぬばたまの夜のふけゆけば久木生ふる清き川原に千鳥しば鳴く」の原文、わかりやすい現代語訳(口語)と解説、そして品詞分解を記しています。



万葉集は、奈良時代末期に成立したとみられる日本に現存する最古の和歌集です。平成の次の元号である「令和」(2019年5月1日〜)の由来となった『梅花の歌三十二首并せて序』をはじめ、天皇や貴族、役人や農民など様々な身分の人々が詠んだ4500以上の歌が収録されています。

原文

(※1)ぬばたまの 夜のふけゆけば 久木(※2)生ふる 清き川原に 千鳥(※3)しば鳴く

ひらがなでの読み方

ぬばたまの よのふけゆけば ひさきおふる きよきかはらに ちどりしばなく

現代語訳

夜が更けてゆくにつれ、久木の生える清らかな川原で千鳥がしきりに鳴いていることよ。



解説・鑑賞のしかた

この歌の作者は、奈良時代の歌人山部赤人(やまべ の あかひと)です。三十六歌仙の一人で、柿本人麻呂とともに歌聖と呼ばれ称えられています。

この歌が詠まれた時代、電気はもちろんないので、夜は真っ暗で静寂な世界でした。その静寂さの中から聞こえてくる川の音や千鳥の鳴き声を強調することで、静寂さをよりいっそう際立たす効果があります。

主な技法・単語・文法解説

(※1)枕詞

「ぬばたまの」は、黒や夜にかかる枕詞。漆黒をイメージさせる。

単語

(※2)生ふ植物が成長する
(※3)しばしきりに




品詞分解

※名詞は省略しています。

ぬばたまの枕詞
格助詞
ふけゆけカ行四段活用・已然形
接続助詞
久木
生ふるハ行上二段活用・連体形
清き形容詞・ク活用・連体形
川原
格助詞
千鳥
しば副詞
鳴くカ行四段活用・終止形


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