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タバリーとは わかりやすい世界史用語1297 |
著作名:
ピアソラ
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タバリーとは
アッバース朝期のタバリーは、9世紀のイスラーム学者であり、歴史家としてもよく知られています。彼の業績は、イスラームの歴史学と神学の基盤を築く上で重要な役割を果たしました。
タバリーの生涯と業績
タバリーは839年、現在のイランにあたるタバリスターンのアーモルで生まれ、923年にバグダードで亡くなりました。彼の最も重要な著作の一つは、『預言者と諸王の歴史』という歴史書です。この作品は、世界創造から彼の同時代までの歴史を網羅し、預言者や王、イスラーム史における重要な出来事を詳しく記録しています。タバリーは口承伝承や先行する歴史文献を批判的に評価し、信頼性のある情報を集めることに注力しました。この著作は初期イスラーム史やアッバース朝の動向を理解するための重要な資料とされています。
アッバース朝は750年にウマイヤ朝を打倒して成立しましたが、タバリーの著作はその時代における政治的・社会的な変動を洞察する手がかりを提供しています。彼はアッバース朝の台頭や権力の確立、内部の紛争を詳細に記録し、特にトルコ系軍事指導者がカリフの権威と並行して王朝を築く様子を描写しました。
コーラン(クルアーン)解釈と神学への貢献
タバリーは歴史学だけでなく、クルアーンの注釈でも重要な役割を果たしました。彼の著作『タフスィール・アル=タバリー』は、クルアーンに関する初期の包括的な解釈の一つであり、現在でもイスラーム学において影響力があります。この作品では言語学的分析と神学的洞察を組み合わせた厳密なアプローチが採用され、さまざまなイスラーム学派の見解を取り入れながら、伝統主義的な視点が強調されています。
政治的・宗教的背景
タバリーの生涯は、宗派間の対立やイスラーム内部の異なる派閥間のイデオロギー的な対立によって特徴づけられました。彼はハンバル派の信奉者から異端と非難され、彼らの見解に対する独自の解釈と批判が原因でバグダードの一部から敵対的な反応を受けました。それでも、タバリーは生涯を通じて学問的な誠実さと高潔さを維持しました。
アッバース朝の知的環境
アッバース朝の時代は、知識、文化、科学が驚異的に発展した時期であり、しばしばイスラーム黄金時代と称されます。この時代には、バグダードが文化的および知的な中心地として確立され、哲学、医学、数学、文学などの分野で著しい進歩が見られました。特に、バグダードの知恵の館の設立は、翻訳や学問活動の中心として重要な役割を果たしました。
タバリーの遺産
タバリーの歴史的記述は、イスラーム文明の発展を理解するための枠組みを提供し、彼のクルアーン解釈は後の解釈者に基準を設定しました。彼の情報を膨大に統合し、首尾一貫した物語にまとめる能力は、イスラームの歴史と宗教研究において高く評価されています。
タバリーの業績は、歴史やイスラーム学において深く多面的な影響を及ぼし続けています。彼の作品は初期イスラーム史を記録するだけでなく、クルアーン解釈の基礎を築くものでもあります。
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