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『玉の緒よ絶えねば絶えねながらへば忍ぶることの弱りもぞする』の現代語訳と解説
著作名: 走るメロス
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百人一首(89)式子内親王/歌の意味と読み、現代語訳、単語、品詞分解


玉の緒よ絶えねば絶えねながらへば忍ぶることの弱りもぞする

このテキストでは、百人一首に収録されている歌「玉の緒よ絶えねば絶えねながらへば忍ぶることの弱りもぞする」のわかりやすい現代語訳・口語訳と解説(係り結び・句切れなど)、そして品詞分解を記しています。この歌は、百人一首の他に、新古今和歌集にも収録されています。



原文

玉の緒絶えなば絶えね ながらへ忍ぶることの弱りもぞする


ひらがなでの読み方

たまのをよ たえなばたえね ながらへば しのぶることの よわりもぞする


現代語訳

(私の)命よ、絶えるのならば絶えてしまえ。このまま長く生きていれば、耐え忍ぶ力が弱って(心に秘めた恋がばれて)しまいそうだから。



解説

この歌は、後白河法皇の娘であった式子内親王(しょくしないしんのう・しきしないしんのう)が詠んだものです。この句は、「忍ぶる恋」というテーマで詠まれたものだといわれています。今で言うと「人には知られていない秘密の恋」といったところでしょうか。

「玉の緒」は命を表し、この命が「絶えるなら絶えてしまってもよい=死んでもよい」となかなか強烈な句で始まっています。ではなぜ死んでしまってもよいと式子内親王は思われたのか、その理由が歌の後半に書いてあります。

「ながらう」は「長く生きる」という意味です。「忍ぶ」には「気づかれないようにする」と「我慢する」という意味がありますが、この歌が恋の歌ということを考えると、気づかれないようにしていた恋と、その恋心を人に伝えるのを我慢しなければならないという気持ちがこめられた言葉でしょう。というのも、式子内親王は生涯独身でいなければならない身分だったために、恋をかなえることはおろか、人に伝えることができなかったのです。

そのために恋心を抑えなければならないのですが、長く生きれば生きるほど、その意志が弱ってしまいそう・・・だから命が絶えてしまってもかまわないと歌っているわけですね。

品詞分解

※名詞は省略してあります。

玉の緒
間接助詞
絶えヤ行下二段活用「たゆ」の連用形
強意の助動詞「ぬ」の未然形
接続助詞
絶えヤ行下二段活用「たゆ」の連用形
強意の助動詞「ぬ」の命令形
ながらへハ行下二段活用「ながらふ」の未然形
接続助詞
忍ぶるバ行上二段活用「しのぶ」の連体形
こと
格助詞
弱りラ行四段活用「よはる」の連用形
係助詞
係助詞
するサ行変格活用「す」の連体形



著者情報:走るメロスはこんな人

学生時代より古典の魅力に取り憑かれ、社会人になった今でも休日には古典を読み漁ける古典好き。特に1000年以上前の文化や風俗をうかがい知ることができる平安時代文学がお気に入り。作成したテキストの総ページビュー数は1,6億回を超える。好きなフレーズは「頃は二月(にうゎんがつ)」や「月日は百代の過客(くゎかく)にして」といった癖のあるやつ。早稲田大学卒業。

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