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万葉集『春の野に霞たなびきうら悲しこの夕かげに鶯鳴くも』現代語訳と解説・品詞分解
著作名: 走るメロス
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大伴家持/歌の意味と読み、現代語訳、単語、品詞分解

春の野に 霞たなびき うら悲し この夕かげに 鶯鳴くも


このテキストでは、万葉集に収録されている歌「春の野に霞たなびきうら悲しこの夕かげに鶯鳴くも」のわかりやすい現代語訳・口語訳、解説そして品詞分解を記しています。


原文

春の野に 霞たなびき うら悲し この夕かげに 鶯鳴く


ひらがなでの読み方

はるののに かすみたなびき うらかなし このゆふかげに うぐひすなくも



現代語訳

春の野原に霞がでてきて、悲しく感じる。夕暮れの光の中で鶯(うぐいす)が鳴いているよ。


解説・鑑賞のしかた

この歌の詠み手は、奈良時代の歌人大伴家持(おおとものやかもち)です。大伴家持は、万葉集の作成にもかかわっていました。

うら悲しいの「うら」とは、「こころ」のことを言いますが、ここでは「うら悲し」を、なんとなく悲しいと訳しています。春の野に霞がかかるまさに春!という光景を目の前にして、ふつうは「春だなぁ」と前向きになるところを、大伴家持は「なんとなく悲しくなった」と言うのです。

ちなみに鶯(うぐいす)は、春を告げる鳥として和歌のなかに登場することが多いので覚えておこう。


単語

たなびく雲や霞が薄く層をなしてなびている様子
うら悲し「うら」は表に表れずに内にこもっている気持ちを表す



品詞分解

※名詞は省略してあります。

格助詞
格助詞
たなびきカ行四段活用・連用形
うら悲し形容詞・シク活用・終止形
この連語
夕影
格助詞
鳴くカ行四段活用・終止形
詠嘆の終助詞



著者情報:走るメロスはこんな人

学生時代より古典の魅力に取り憑かれ、社会人になった今でも休日には古典を読み漁ける古典好き。特に1000年以上前の文化や風俗をうかがい知ることができる平安時代文学がお気に入り。作成したテキストの総ページビュー数は1,6億回を超える。好きなフレーズは「頃は二月(にうゎんがつ)」や「月日は百代の過客(くゎかく)にして」といった癖のあるやつ。早稲田大学卒業。

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