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『田子の浦ゆ うち出でてみれば 真白にそ 富士の高嶺に 雪は降りける』現代語訳と解説
著作名: 走るメロス
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山部赤人/歌の意味と読み、現代語訳、単語、品詞分解

田子の浦ゆ うち出でてみれば 真白にそ 不尽の高嶺に 雪は降りける


このテキストでは、万葉集に収録されている歌「田子の浦ゆうち出でてみれば真白にそ不尽の高嶺に雪は降りける」のわかりやすい現代語訳・口語訳と解説、品詞分解を記しています。「田子の浦ゆ」と「田子の浦に」の違いについても書いているので参考にしてみてください。



ちなみにこの歌は新古今和歌集小倉百人一首にも収録されていますが、そちらでは以下のように改編されています。

田子の浦にうち出でてみれば白妙の富士の高嶺に雪は降りつつ

の解説はこちら


万葉集とは

万葉集は、奈良時代末期に成立したとみられる日本に現存する最古の和歌集です。天皇や貴族、役人や農民など様々な身分の人々が詠んだ4500以上の歌が収録されています。

※この歌の長歌:「天地の分れし時ゆ神さびて〜」の現代語訳と品詞分解


原文

田子の浦ゆ うち出でみれば 真白にそ 不尽の高嶺に 雪は降りける


ひらがなでの読み方

たごのうらゆ うちいでてみれば ましろに そふじのたかねに ゆきはふりける


現代語訳

田子の浦を通って(視界の開けたところまで)出て見ると、真っ白に、富士山の高いところに雪が降り積もっていることだよ。





単語

田子の浦現在の田子の浦は、静岡県富士市の田子の浦。歌が詠まれた時代の田子の浦は、現在の静岡県静岡市の由比付近と考えられる。
不尽(ふじ)富士山のこと



解説

この歌は、山部赤人が詠んだ歌です。山部赤人は奈良時代の歌人です。三十六歌仙のうちの一人で、柿本人麻呂とともに歌聖と呼ばれています。(※柿本人麻呂のみを歌聖とするなど諸説あり)

「田子の浦」の「ゆ」があるからリズムよく読めないという方もいらっしゃるでしょうが、「ゆ」は「~を通って」を意味するので、この「ゆ」がないと、田子の浦で富士山を眺めたのか、それとも田子の浦から離れたところで富士山を眺めたのかがわからなくなってしまいます。





品詞分解

※名詞は省略しています。

田子の浦
格助詞
うち出でダ行下二段活用「うちいづ」の連用形
接続助詞
みれマ行上一段活用「みる」の已然形
接続助詞
真白に形容動詞・ナリ活用「ましろなり」の連用形、または名詞「真白」+格助詞「に」
係助詞
不尽
格助詞
高嶺
格助詞
係助詞
降りラ行四段活用「ふる」の連用形
ける詠嘆の助動詞「けり」の連体形



著者情報:走るメロスはこんな人

学生時代より古典の魅力に取り憑かれ、社会人になった今でも休日には古典を読み漁ける古典好き。特に1000年以上前の文化や風俗をうかがい知ることができる平安時代文学がお気に入り。作成したテキストの総ページビュー数は1,6億回を超える。好きなフレーズは「頃は二月(にうゎんがつ)」や「月日は百代の過客(くゎかく)にして」といった癖のあるやつ。早稲田大学卒業。

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