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18_80 ヨーロッパ世界の形成と変動 / 西ヨーロッパ中世世界の変容

ピサとは わかりやすい世界史用語1644

著者名: ピアソラ
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ピサとは

ピサの起源は、紀元前6世紀中頃に遡るエトルリアの港町にあります。エトルリア人はこの地を「ピセ」と呼び、芸術や工芸品の生産を通じて経済を発展させました。ピサはアルノ川の河口に位置し、地理的に重要な役割を果たしていました。この戦略的な位置は、後のローマ時代においても重要な海上貿易の拠点となる基盤を築くことになります。

地理的位置に恵まれたピサは、ローマ時代にはローマの海軍遠征の拠点として機能しました。紀元前180年頃、ピサはローマの植民地となり、「ポルトゥス・ピサヌス」として知られるようになりました。この時期、ピサはローマの法律の下で発展し、地中海における重要な貿易港としての地位を確立しました。

ピサは、アルノ川の河岸に向けての拡張を通じて、上ティレニア海の主要な港としての役割を果たし始めました。この時期、ピサは海上貿易の中心地として繁栄し、特に中世には海洋共和国としての地位を確立しました。ピサの海軍は、地中海全域での貿易と軍事的な影響力を強化し、他の都市との競争においても優位に立つことができました。



建築の傑作

ピサのドゥオーモ広場は、世界的に知られる建築群を有する場所であり、カテドラル、洗礼堂、鐘楼(通称ピサの斜塔)、カンポサントの四つの重要な建物が集まっています。これらの建物は、11世紀から14世紀にかけて建設され、ピサの歴史的な繁栄を象徴しています。特に、これらの建物はそれぞれ異なる宗教的な機能を持ちながらも、調和の取れた景観を形成し、訪れる人々に深い感銘を与えています。

ドゥオーモ広場の建築様式は、ピサ・ロマネスク様式の最高の例とされ、その壮麗さと完璧さが際立っています。このスタイルは、古典的な要素、初期キリスト教の影響、ロンバルディア様式、さらには東方のモチーフが融合したものであり、建物同士のスタイリッシュな統一感が感じられます。特に、白大理石と黒のストライプが印象的で、視覚的な美しさを引き立てます。

1987年、ドゥオーモ広場はユネスコの世界遺産に登録され、その芸術的価値が国際的に認められました。この登録は、広場に存在する四つの建築的傑作が、歴史的および文化的な重要性を持つことを示しています。特に、これらの建物は中世の建築の発展に大きな影響を与え、今日でも多くの研究や観光の対象となっています。

文化的意義

ピサは、著名な科学者ガリレオ・ガリレイの故郷として知られています。彼は、ピサの大聖堂で振り子の動きを観察し、小さな振動の等時性に関する理論を発見しました。この発見は、物理学の発展において重要なステップとなり、後の動力学の研究に繋がりました。ガリレオの業績は、ピサの科学的遺産を象徴するものであり、彼の影響は今日の科学教育にも色濃く残っています。

ピサ大学は1343年に設立され、イタリアで最も古い大学の一つとして知られています。大学は、法学、医学、科学など多様な分野で教育を提供し、現在でも多くの学生が学んでいます。特に、ピサ大学は国際的な研究機関としての地位を確立しており、世界中から学生を引き寄せています。このように、ピサは教育の中心地としての役割を果たし続けています。

中世の海洋共和国としてのピサは、地中海地域における文化交流の中心地でした。ピサは、商業活動を通じて他の文化と接触し、独自の文化的アイデンティティを形成しました。この時期、ピサは建築、芸術、科学の発展において重要な役割を果たし、今日でもその影響は市の文化に色濃く残っています。

中世の繁栄

ピサは中世において、地中海貿易を支配する海洋共和国の一つとして知られています。特に、アーノ川の河岸に向けた拡張がその力の源泉となり、商業活動が活発化しました。ピサの艦隊はイスラムの拡張を抑え、シチリアや北アフリカ、サルデーニャにまでその影響を及ぼしました。このように、ピサは海洋共和国としての地位を確立し、地中海における重要な貿易拠点となりました。

経済的繁栄は、ピサの商業的成功と海軍力に支えられました。特に、13世紀後半には毛織物製造の中心地として賑わい、ピサの繁栄はその特徴的なカサトーレ(塔)に反映されました。貿易の拡大により、ピサは豊かな都市として知られるようになり、商人たちの富が街の発展を促進しました。

ピサは、ジェノヴァやヴェネツィアと競争しながら、地中海地域での影響力を拡大しました。特に、サラセンとの継続的な対立や、商業的利益を巡る争いが、ピサの政治的影響を強化しました。ピサの貿易は、ランゴドックやプロヴァンスとの関係を築き、ジェノヴァの利益に対抗する要因となりました。このように、ピサは海洋共和国としての地位を確立し、地中海における重要な都市となりました。
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『世界史B 用語集』 山川出版社

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