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『鴻門之会・沛公虎口を脱す』(沛公已出〜)わかりやすい現代語訳・書き下し文と解説
著作名: 走るメロス
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現代語訳(口語訳)

沛公は既に出ました。
項王は都尉陳平に、沛公を呼びに行かせました。
沛公が言います。





「いま出てきたが、まだ別れの挨拶をしていない。
これをどうしたらよいか。」と。


樊噲が言います。
「大事を成すためには小さな謹みにかまってはいられませんし、大いなる儀礼の前では小さな謙り合いなど問題ではありません。
いま、相手は包丁とまな板(なようなもの)であり、我々は魚と肉(のようなもの)です。
どうして別れの挨拶をする必要がありましょうか。」と。






そしてそのまま立ち去りました。
そこで張良を留まらせて謝罪をさせることにしました。
張良は尋ねて言いました。
「大王(沛公)はここにいらっしゃるとき、何を(土産として)持ってきましたか。」と。


(沛公が)言います。
「私は白璧一双を持参し、項王に献上しようと、そして玉斗一双を亜父に与えようと思っていましたが、その怒りにあって無理に献上することはしませんでした。
あなたが私のためにこれを献上しなさい。」と。


張良が言いました。
「謹んでお受けいたします。」と。






このとき、項王の軍は鴻門のもとにあり、沛公の軍は霸上にありました。
互いの(陣営の)距離は四十里ほどでした。
沛公はそこで(従えてきた)馬車と騎兵を置いて、身一つで抜けだして一人で馬に乗り、
樊噲・夏侯嬰・靳彊・紀信ら四人は剣と盾を持って走り、酈山のふもとから、芷陽へと抜け道を通って行きました。

沛公が張良に言いました。
「この道から我軍に至るには、二十里にしかすぎない。
私が軍中に着く頃合いを見計らって、あなたは(宴会の席に)入れ。」と。


※つづく:『鴻門之会』(沛公已去、間至軍中〜)わかりやすい現代語訳・書き下し文と解説


単語・文法解説

項王使都尉陳平召沛公「使AB」で「AをしてBせしむ」と読み、「AにBをさせる」と訳す
未辞也「未」は再読文字。「いまだ〜ず」と読み、「まだ〜ない」と訳す
刀俎包丁とまな板
何辞為「どうして別れの挨拶をする必要があろうか」と疑問として訳す
令張良留謝「令」は「使」と同じで「令AB」で「AをしてBせしむ」と読む
不敢献「不敢A」で「あえてAしない」と訳す




著者情報:走るメロスはこんな人

学生時代より古典の魅力に取り憑かれ、社会人になった今でも休日には古典を読み漁ける古典好き。特に1000年以上前の文化や風俗をうかがい知ることができる平安時代文学がお気に入り。作成したテキストの総ページビュー数は1,6億回を超える。好きなフレーズは「頃は二月(にうゎんがつ)」や「月日は百代の過客(くゎかく)にして」といった癖のあるやつ。早稲田大学卒業。



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