経済政策の効果を把握するには?
私達の社会は、さまざまな経済政策のもと運営されています。
経済政策を実行する際には、その効果をおおまかには把握する必要があります。効果がわからなければ、経済政策は立案できないからです。
この時、国の経済規模の増減を、マクロ的な視野で把握するときに用いるのが、
国富と
国民所得という2つの指標です。
国富と国民所得とは
国富とは一体どのようなものを指すのでしょう。言葉を分解してみると、国の富という意味ですね。
では、経済指標としての国の富とは、どいったものなのでしょう。
国富は、
一国でその指標が必要になった時から、過去にさかのぼって考えたときに、どのくらいの富が蓄積しているかという考え方が基本となります。
国富の内訳を具体的にいえば、
実物資産、
地下資源や土地・森林の評価額と
対外純資産を合計したものです。
実物資産
実物資産とは、
建物や原材料、機械設備など、企業や個人、政府機関などの保有する資産のことを指します。
評価額
評価額とは、
土地や森林、地下資源など、価値が時代によって変わる可能性のあるものに対し、その時代の価値基準を当てはめて算出した金額のことです。
対外純資産
一般的に、外貨準備や、民間の投融資の残高を
対外資産残高と言います。この対外資産残高から、国内における
対内融資や
対内借款、
外国資本などを差し引いたものを
対外純資産と言います。
国富には、現金・預金・公債・社債・株式等の金融資産は含まれません。注意しましょう!
さて、もう一つの経済指標として用いられる国民所得というのは、一国の経済循環の過程を、
生産・分配・支出の各側面から計算したものです。
ストックとフロー
このように、国富と国民所得を用いて経済規模を把握するわけですが、この2つの要素は、国富が
ストック、国民所得が
フローと別の呼び方で呼ばれることがあります。
フローというのは、英語で「
流れ(flow)」という意味です。つまり、国全体の所得の流れを表しています。
一方ストックは英語で「
蓄積(stock)」という意味で、一定時点で一国の富の資産価値として表します。
このストックとフローは、水の流れで例えることができます。
ある水槽があったとして、水の流れをフロー(国民所得)、貯められた水をストック(国富)として考えてみましょう。
水槽には水が予め溜まっています。なぜなら、前年度末までに、ストック(国富)が溜まっているからです。
ここに、今年一年間のフロー(国民所得)が追加されます。
フロー(国民所得)はその年の消費として流れていきますが、その一部は国の前年度のストックに上乗せされて更に貯蓄されますね。
つまり、その年の国民所得のうちに、消費を除いた
投資(資産形成とも言えます)に向けられた分が、今年一年間の国富の増加分となるのです。
このように、水の流れに例えて考えると、ストックとフローの関係性がよくわかりますね。