はじめに
一般的に、市場は効率的だという認識がありますが、時に、企業間の独占・寡占が発生し、市場の効率性が歪むことがあります。今日は、独占・寡占について勉強していきましょう。
資本主義経済では、企業間の自由競争は資本の集積と集中を進め、大規模化した企業が登場する一方で、競争に破れた企業は市場から退出を余儀なくされます。
企業は規模の利益(規模の経済:スケール=メリット)を求めて、設備投資を増強したりします。
こうした過程で発生するのが、独占・寡占です。
独占と寡占の違い
市場の状態を表す用語に、独占・寡占がありますが、両者の違いはどんなものでしょう。
簡単にいえば、独占は特定の一社だけが商品やサービスを市場に提供している状態のことです。
英語ではモノポリー(Monopoly)といいます。ボードゲームでありますよね。
一方、寡占(Oligopoly)は数社のみが市場に商品を供給している状況です。
代表的な市場占有の例
1870年代ごろから20世紀初めに形成された寡占の組織に、
カルテル・トラスト・コンツェルンというものがあります。
カルテル(企業連合)は、同一業種の企業間で価格や生産量・販売地域などを協定し、価格維持をはかることで独占利潤を確保しようとする組織のことです。協定内容によって、価格カルテル・生産カルテル・販売カルテルという種類に分かれます。
また違う類型として、シンジケートというものがあります。
これはカルテル組織が共同販売会社を持つものです。
よく麻薬シンジケートって聞きますよね??麻薬を各地から集めて共同で販売する組織のことです。
この言葉は企業のシンジケートから来ています。
同一業種の大企業同士が合併したり、大企業が中小企業を吸収したりして大規模化し、価格支配と独占利潤の確保をめざすものが、トラスト(企業合同)です。
トラストは、資本の集中の典型例でもあります。
ここで注意していただきたいのは、同一業種の企業結合であるカルテルとトラストは企業の水平的結合だということです。
(USスチール:トラストが目的で設立された企業の代表例)
最後に、コンツェルンを紹介しましょう。
ある大規模企業が中心になり、異なる業種のいくつかの企業(株式会社)を、株式の所有、融資、人的なつながりなどによって支配していくのがコンツェルン(企業連携)です。
コンツェルンには、中心企業が産業資本である産業資本型コンツエルンと、銀行や持株会社が中心企業になる金融資本型コンツェルンがあります。
異なる業種の企業が結合するところから、コンツェルンは垂直的結合といわれます。
同一業種にかぎられるカルテルやトラストにくらべると、コンツェルンは裾野が広いので、連携内の価格維持が与える社会的影響力は大きいと言えます。
戦前日本の寡占(独占)組織の中核だった財閥(三井・三菱・住友・安田・その他)は、中心企業が同族(一族)でかためられた家族主義的持株会社だった点に特色があります。
おわりに
いかがでしたか?寡占・独占の類型はこんなにも種類があるんですね。
財閥の多くが寡占の類型の一つだとすれば、近代日本を形作った大きな要因が市場占有にあったということですね。