社会主義が生まれた背景
イギリスでの産業革命後、人々の生活は格段に豊かになります。しかしその一方で、
貧富の差がさらに顕著に表れます。
資本家が会社を経営し、労働者たちは働けど働けど資本家に搾取をされる日常の中から、労働環境を改善し平等な社会を理想とする思想が生まれます。これが
社会主義の始まりです。
社会主義とは
社会主義とは、私有財産を否定して、物の生産を国が管理し、利益もまた国から払われる形をとった、
搾取のない平等な社会を目指そうとするものです。国民の収入が国の配分によって決まるので、平等な社会を実現できる一方、ものすごく働いた人とあまり働いていない人とで給料が同じということが起こりえるので、個人のやる気をそぎ、経済発展を阻害する可能性があるとも言われています。
ちなみに世界で初めての社会主義国がソビエト社会主義共和国連邦です。
初期の社会主義提唱者
社会主義と言えば、
マルクスや
エンゲルスが有名ですが、彼らよりも前に社会主義を訴えた思想家たちがいました。
■オーウェン
イギリスの
オーウェンは、労働環境を改善したニュー・ラナーク紡績場を築き上げます。労働者に経営に参加さえたり、世界初の幼稚園を作るなど、労働者の地位向上をはかりました。
■サン=シモン
フランスの
サン=シモンは、労働者たちの管理は労働者自身の手で行うという合理的な社会を説きました。
■ファランステール
また、フランスの
ファランステールはファランジェという農業を中心とした組合を作ります。ここでは生産物はみな平等に分配されるという、まさに社会主義が理想とする社会を実現していました。
彼らは資本家の善意に訴えて制度を変えようと試みましたが、これに失敗。社会主義の構造を分析しその矛盾点を指摘する洞察力や変革を起こすための科学的な方法を持っていなかったために、のちにマルクスやエンゲルスから
空想的社会主義者と批難されることになります。