九品中正制度における「中正官」（ちゅうせいかん）は、官僚の評価と選抜を担当する重要な役職でした。この制度は、三国時代の魏（220-265年）に始まり、隋初まで使用されました。中正官は、地方の有力者や官僚から推薦された候補者を評価し、九つのランクに分類する役割を担っていました。


評価とランク付け：中正官は、候補者の道徳的な品格、行政能力、そして家族の貢献度に基づいて評価を行いました。評価は九つのランクに分類され、最上位が一品、最下位が九品とされました。
地方と中央の橋渡し：中正官は、地方の有力者や官僚から推薦を受け、中央政府に報告する役割を果たしました。これにより、地方の有力者の影響力を抑えつつ、中央政府の権力を強化することができました。
家族の背景調査：候補者の家族の背景や社会的な地位も評価の一部とされました。特に、候補者の父親のランクが候補者の評価に影響を与えることがありました。




中正官は、地方の有力者や官僚から推薦され、中央政府によって任命されました。彼らの評価は、候補者の将来のキャリアに大きな影響を与えるため、非常に重要な役職とされました。

しかし、この制度は、家族の背景や社会的な地位が評価に大きく影響するため、貴族階級の固定化を助長する結果となりました。特に、魏晋南北朝時代（220-589年）には、貴族階級が政治を支配するようになり、九品中正制度はその一因とされています。


九品中正制度は、魏の時代に始まり、晋（265-420年）、南北朝（420-589年）、隋（581-618年）まで使用されました。しかし、唐代以降、科挙制度が導入されると、九品中正制度は次第に廃れていきました。科挙制度は、官僚の選抜を試験に基づいて行うものであり、より公平で実力主義的な制度とされました。

中正官は、九品中正制度において官僚の評価と選抜を担当する重要な役職であり、中央政府の権力を強化し、地方の有力者の影響力を抑える役割を果たしました。しかし、家族の背景や社会的な地位が評価に大きく影響するため、貴族階級の固定化を助長する結果となりました。唐代以降、科挙制度の導入により、九品中正制度は次第に廃れていきました。

このように、中正官は中国の歴史において重要な役割を果たしましたが、その影響は時代とともに変化していきました。