アモン・ラー神とは、古代エジプトの神々の中でも最も重要な神の一人で、アモン神とラー神の二つの神の性質を合わせ持つ神です。アモン神は生命の創造者として、ラー神は太陽と宇宙の創造者として崇拝されていました。アモン・ラー神は、これら二つの神の力と属性を兼ね備え、すべての存在の創造者として信仰されました。

アモン・ラー神の起源は、アモン神にさかのぼります。アモン神は古代エジプトの最古の神の一人で、隠された神という意味の名前を持ちます。アモン神は本来は目に見えない神でしたが、人間の姿やラムの姿で表されることもありました。アモン神は、自らを創造し、その息吹で生命を生み出しました。

アモン神は、古代エジプトの歴史の中で、様々な神と結びつけられました。特に、新王国時代には、テーベの都市神であった戦闘の神モントゥと入れ替わり、テーベの守護神となりました。この時期には、テーベの神官たちが政治的に強大になり、アモン神の権威も高まりました。アモン神は、エジプトの王たちの守護神として、王権の正統性を保証する役割を果たしました。

アモン神の最も重要な結びつきは、太陽神ラー神とのものでした。ラー神は、太陽の円盤を頭に乗せたハヤブサの姿で表される神で、太陽と宇宙の創造者として崇拝されていました。ラー神は、毎日太陽の船に乗って天空を渡り、夜には冥界を旅して、翌朝に再び出現するというサイクルを繰り返していました。ラー神は、エジプトの神々の中でも最高位の神とされ、多くの神と関連付けられました。

アモン神とラー神の結びつきは、新王国時代に始まりました。この時期には、エジプトの領土が拡大し、外国との交流が増えました。アモン神とラー神は、エジプトの帝国の象徴として、一つの神として崇拝されるようになりました。アモン・ラー神は、アモン神の隠された力とラー神の太陽の光を併せ持ち、エジプトの神々の王として君臨しました。

アモン・ラー神は、エジプトの神々の中でも最も豊かな神殿を持っていました。その神殿は、テーベのカルナックにあり、巨大な柱や壁画、オベリスクなどで飾られていました。アモン・ラー神の神殿は、エジプトの王たちや神官たちによって、何度も改築や拡張が行われました。アモン・ラー神の神殿は、現在でもエジプトの遺跡の中でも最も壮大なものの一つとして、世界遺産に登録されています。

アモン・ラー神は、エジプトの国内だけでなく、国外でも崇拝されました。エジプトの支配下にあったリビアやヌビアでも、アモン・ラー神の神殿が建てられました。