更新日時:
|
|
ラミダス猿人とは その生息地と生活 世界史用語16 |
|
著作名:
ピアソラ
601 views |
このテキストでは、人類の祖先ラミダス猿人について解説します。ラミダス猿人は、エチオピアに生息していた原始的な人類(猿人)の一種で、約580万年前から約440万年前まで存在していました。この化石人類は、アルディピテクス属に分類され、アルディピテクス・ラミドゥスとアルディピテクス・カダッバの2つの種に分かれています。ラミダス猿人は、古代の人類として、アウストラロピテクス属よりも遥かに古い時代に生息し、人類進化の系統樹における根本に位置する存在と考えられています。
アルディピテクス・ラミドゥスは、約440万年前、エチオピアのアファール盆地で発見された種です。この時代に生息していた「アルディ」と呼ばれる個体は、約440万年前の女性とされ、全身骨格が発見されました。アルディは、身長約120センチ、体重約50キロで、木登りと直立二足歩行の両方に適応していたと考えられています。足の指は物を掴むための構造を持ち、骨盤は直立歩行に適しています。一方、歯の構造から見て、硬いサバンナ系の植物を摂取していたとは考えられず、犬歯は小さく退化していました。このことから、彼らが暮らしていた環境は、ジャングルとサバンナが交わる地形だった可能性が高いです。
アルディピテクス・カダッバは、約580万年前から約520万年前にエチオピアで生息していた種で、1997年にアワッシュ川中流域で発見されました。最初はラミドゥス猿人の亜種と考えられていましたが、犬歯の形状に明確な差異が認められ、ラミドゥス猿人よりも古い同属異種として分類されました。
ラミダス猿人の発見は、従来の仮説を覆す重要な発展をもたらしました。これまでの仮説では、人類と類人猿の最後の共通祖先はチンパンジーに似ており、その後直立二足歩行を始め、脳容量が増大し、道具や火の使用を始めたとされていました。しかし、ラミダス猿人は、これらの仮説に合致しない特徴を持っており、人類と類人猿の分岐点がより古く、直立二足歩行が森林で進化した可能性が高いことを示唆しています。さらに、ラミダス猿人は、チンパンジーやゴリラのような雄優位社会ではなく、雌雄平等な社会で暮らしていたとも推測されています。
ラミダス猿人は、人類進化の新たな展望を提供する存在です。その発見により、我々の祖先がどのように進化してきたのかについての新たな洞察がもたらされました。
このテキストを評価してください。
役に立った
|
う~ん・・・
|
※テキストの内容に関しては、ご自身の責任のもとご判断頂きますようお願い致します。 |
|
猿人 その進化と特徴 世界史用語15
>
アウストラロピテクス 進化・特徴とルーシーの発見 世界史用語17
>
オーストロアジア語族とは 世界史用語85
>
弓矢の発明 世界史用語49
>
灌漑農業の成立と文明発展 世界史用語61
>
ラスコーとは フランスの洞穴絵画遺跡 世界史用語41
>
先史時代の土器とは 世界史用語57
>
最近見たテキスト
ラミダス猿人とは その生息地と生活 世界史用語16
10分前以内
|
>
|
デイリーランキング
世界史
- 先史時代
- 先史時代
- 西アジア・地中海世界の形成
- 古代オリエント世界
- ギリシア世界
- ヘレニズム世界
- ローマ帝国
- キリスト教の成立と発展
- アジア・アメリカの古代文明
- イラン文明
- インドの古代文明
- 東南アジアの諸文明
- 中国の古典文明(殷・周の成立から秦・漢帝国)
- 古代の南北アメリカ文明
- 東アジア世界の形成と発展
- 北方民族の活動と中国の分裂(魏晋南北朝時代)
- 東アジア文化圏の形成(隋・唐帝国と諸地域)
- 東アジア諸地域の自立化(東アジア、契丹・女真、宋の興亡)
- 内陸アジア世界の形成
- 遊牧民とオアシス民の活動
- トルコ化とイスラーム化の進展
- モンゴル民族の発展
- イスラーム世界の形成と拡大
- イスラーム帝国の成立
- イスラーム世界の発展
- インド・東南アジア・アフリカのイスラーム化
- イスラーム文明の発展
- ヨーロッパ世界の形成と変動
- 西ヨーロッパ世界の成立
- 東ヨーロッパ世界の成立
- 西ヨーロッパ中世世界の変容
- 西ヨーロッパの中世文化
- 諸地域世界の交流
- 陸と海のネットワーク
- 海の道の発展
- アジア諸地域世界の繁栄と成熟
- 東アジア・東南アジア世界の動向(明朝と諸地域)
- 清代の中国と隣接諸地域(清朝と諸地域)
- トルコ・イラン世界の展開
- ムガル帝国の興隆と衰退
- ヨーロッパの拡大と大西洋世界
- 大航海時代
- ルネサンス
- 宗教改革
- 主権国家体制の成立
- 重商主義と啓蒙専制主義
- ヨーロッパ諸国の海外進出
- 17~18世紀のヨーロッパ文化
- ヨーロッパ・アメリカの変革と国民形成
- イギリス革命
- 産業革命
- アメリカ独立革命
- フランス革命
- ウィーン体制
- ヨーロッパの再編(クリミア戦争以後の対立と再編)
- アメリカ合衆国の発展
- 19世紀欧米の文化
- 世界市場の形成とアジア諸国
- ヨーロッパ諸国の植民地化の動き
- オスマン帝国
- 清朝
- ムガル帝国
- 東南アジアの植民地化
- 東アジアの対応
- 帝国主義と世界の変容
- 帝国主義と列強の展開
- 世界分割と列強対立
- アジア諸国の改革と民族運動(辛亥革命、インド、東南アジア、西アジアにおける民族運動)
- 二つの大戦と世界
- 第一次世界大戦とロシア革命
- ヴェルサイユ体制下の欧米諸国
- アジア・アフリカ民族主義の進展
- 世界恐慌とファシズム諸国の侵略
- 第二次世界大戦
- 米ソ冷戦と第三勢力
- 東西対立の始まりとアジア諸地域の自立
- 冷戦構造と日本・ヨーロッパの復興
- 第三世界の自立と危機
- 米・ソ両大国の動揺と国際経済の危機
- 冷戦の終結と地球社会の到来
- 冷戦の解消と世界の多極化
- 社会主義世界の解体と変容
- 第三世界の多元化と地域紛争
- 現代文明
- 国際対立と国際協調
- 国際対立と国際協調
- 科学技術の発達と現代文明
- 科学技術の発展と現代文明
- これからの世界と日本
- これからの世界と日本
- その他
- その他