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ラミダス猿人とは その生息地と生活 世界史用語16
著作名: ピアソラ
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ラミダス(ラミドゥス)猿人とは

このテキストでは、人類の祖先ラミダス猿人について解説します。ラミダス猿人は、エチオピアに生息していた原始的な人類(猿人)の一種で、約580万年前から約440万年前まで存在していました。この化石人類は、アルディピテクス属に分類され、アルディピテクス・ラミドゥスとアルディピテクス・カダッバの2つの種に分かれています。ラミダス猿人は、古代の人類として、アウストラロピテクス属よりも遥かに古い時代に生息し、人類進化の系統樹における根本に位置する存在と考えられています。



アルディピテクス・ラミドゥス 古代のエチオピアでの生息

アルディピテクス・ラミドゥスは、約440万年前、エチオピアのアファール盆地で発見された種です。この時代に生息していた「アルディ」と呼ばれる個体は、約440万年前の女性とされ、全身骨格が発見されました。アルディは、身長約120センチ、体重約50キロで、木登りと直立二足歩行の両方に適応していたと考えられています。足の指は物を掴むための構造を持ち、骨盤は直立歩行に適しています。一方、歯の構造から見て、硬いサバンナ系の植物を摂取していたとは考えられず、犬歯は小さく退化していました。このことから、彼らが暮らしていた環境は、ジャングルとサバンナが交わる地形だった可能性が高いです。

アルディピテクス・カダッバ: より古い種の発見

アルディピテクス・カダッバは、約580万年前から約520万年前にエチオピアで生息していた種で、1997年にアワッシュ川中流域で発見されました。最初はラミドゥス猿人の亜種と考えられていましたが、犬歯の形状に明確な差異が認められ、ラミドゥス猿人よりも古い同属異種として分類されました。



人類進化の新たな見方

ラミダス猿人の発見は、従来の仮説を覆す重要な発展をもたらしました。これまでの仮説では、人類と類人猿の最後の共通祖先はチンパンジーに似ており、その後直立二足歩行を始め、脳容量が増大し、道具や火の使用を始めたとされていました。しかし、ラミダス猿人は、これらの仮説に合致しない特徴を持っており、人類と類人猿の分岐点がより古く、直立二足歩行が森林で進化した可能性が高いことを示唆しています。さらに、ラミダス猿人は、チンパンジーやゴリラのような雄優位社会ではなく、雌雄平等な社会で暮らしていたとも推測されています。

ラミダス猿人は、人類進化の新たな展望を提供する存在です。その発見により、我々の祖先がどのように進化してきたのかについての新たな洞察がもたらされました。

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