更新日時:
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ガンダーラ美術とは何か |
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著作名:
エンリケ航海王子
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ガンダーラ美術という芸術をご存知でしょうか。
古代インドで誕生し、その後様々な地域に影響を与えたこの芸術は、非常に優れたものでした。
このテキストでその内容を見ていきましょう。
ガンダーラ美術はヘレニズム文化がその源流になりました。
ヘレニズム文化というのは、アレクサンドロス大王の東方遠征がきっかけとなって、ギリシア文化と、東方のオリエント文化などが融合して生まれた文化です。
ヘレニズムという言葉自体は、19世紀のドイツの歴史家ドロイゼンの造語であると言われています。
この背景には、東方遠征にともなってギリシア人たちがオリエント地方に移住し始めたことがあります。オリエントへの移住とともに、彼らは他地域の人々との交流を深めていきました。
彼らはコイネーという共通語を話し、世界市民主義という特色を有していました。
前述のように、ヘレニズム文化は様々な民族の文化を融合したものでしたが、この文化を持つ国が分裂していきました。
バクトリアという国もそのひとつで、ギリシア人の子孫が建国した国でした。
彼らは、ヘレニズム文化を維持する一方で、領土拡大のために新天地を求めます。
彼らは自国からみて、更に東方を目指したので、紀元前3世紀に西北インドに到達します。
バクトリアは、インド地方を支配することなく、紀元前2世紀に滅亡しますが、この侵入によって、ヘレニズム文化がインドに伝わりました。長い時を経て、インドまで文化が到達したのです。
時は過ぎ、1世紀になると、西北インドを含む地域にクシャーナ朝という王朝が誕生します。
クシャーナ朝の全盛期を築いたのが、カニシカ王で、彼はガンダーラ地方のプルシャプラを都として、仏教を厚く保護しました。
プルシャプラは現在のペシャーワルです。
カニシカ王の熱心な仏教信仰と、ヘレニズム文化が融合し、都のあったガンダーラ地方で誕生したのがガンダーラ美術だったというわけです。
もともと、インドの仏教徒は釈迦の姿をかたどった彫刻を作りませんでしたが、ギリシア系の人々は、ギリシア時代に様々な神をかたどった彫刻を数多く残した民族だったので、次第にこの地域で釈迦の像を作り始めたのです。
(ギリシア風衣装を纏った仏陀像)
ガンダーラ美術は、釈迦の姿をヘレニズム文化の彫刻技法を用いて表現したので、彫りの深い顔と衣装が特徴です。
これは仏像の原型となり、のちに中央アジアや中国を経て、日本にまで伝わりました。
2019年更新
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