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古文単語「とらす/取らす」の意味・解説【サ行下二段活用】
著作名: 走るメロス
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とらす/取らす

このテキストでは、サ行下二段活用の動詞「とらす/取らす」の意味、活用、解説とその使用例を記している。

サ行下二段活用

未然形とらせ
連用形とらせ
終止形とらす
連体形とらする
已然形とらすれ
命令形とらせよ


意味1:他動詞

与える、やる

[出典]にくきもの 枕草子
「また、酒飲みてあめき、口を探り、鬚ある者はそれをなで、盃、異人に取らするほどのけしき、いみじうにくしと見ゆ。」

[訳]:また、酒を飲んでわめき、口(の辺り)を触れて確かめ、髭のある者はそれをなで、杯を、他人に与えるような様子は、とてもしゃくに障ると感じる。


意味2:補助動詞

〜てやる

※この用法の場合、動詞の連用形+接続助詞「て」の下について用いられる。
[出典]:内沙汰
「そのおりに、わけてとらせう。」

[訳]:その時に、わけてやろう。




備考

上記意味1の「取らす」は、ラ行四段活用「取る」の未然形「とら」と使役の助動詞「す」が一語になったものであるが、上代で用いられる「取らす」は、ラ行四段活用「取る」の未然形と尊敬の助動詞「す」が一語になったものであり、「お取りになる」の意味となる。

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