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古文単語「とりあふ/取り敢ふ」の意味・解説【ハ行下二段活用】
著作名: 走るメロス
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とりあふ/取り敢ふ

このテキストでは、ハ行下二段活用の動詞「とりあふ/取り敢ふ」の意味、活用、解説とその使用例を記している。

「とりあふ」には
①取り敢ふ(ハ行下二段活用)
②取り合ふ(ハ行四段活用)
などの用法があるが、ここでは「①取り敢ふ」を扱う。
ハ行下二段活用

未然形とりあへ
連用形とりあへ
終止形とりあふ
連体形とりあふる
已然形とりあふれ
命令形とりあへよ


意味1:自動詞

取ることができる、取る余裕がある、用意する

※この用法の場合、打消の語を伴って用いられる。
[出典]富士川 平家物語
「...とて、とる物もとりあへず、我先にとぞ落ち行きける。」

[訳]: ...といって、手に取る物も取ることができずに、我先にと逃走した。


意味2:自動詞

ありあわせる、持ち合わす

[出典]:竹河 源氏物語
とりあへたるままに、かづけたまふ。」

[訳]:あり合わせたままに、(褒美として)お与えになる。




意味3:自動詞

耐える、我慢する、こらえる

[出典]:梅枝 源氏物語
「心ありて風の避くめる花の木にとりあへぬまで吹きや寄るべき」

[訳]: (風に)心があって風が避けて(吹いて)いるような(梅の)花の木に、(鳥が)こらえられないほど(かしましく)笛を吹きながら寄ってよいものでしょうか


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