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古文単語「ひしひしと」の意味・解説【副詞】
著作名: 走るメロス
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ひしひしと

このテキストでは、古文単語「ひしひしと」の意味、解説とその使用例を記している。

副詞

意味1

(物が強くきしむ音を表して)
みしみしと、ぎしぎしと

[出典]博打の子の婿入り 宇治拾遺物語
「博打一人、長者の家の天井にのぼりて、ふたりねたる上の天井を、ひしひしとふみならして...」

[訳]:博打(仲間の)一人が、金持ちの家の天井にのぼって、二人が寝ている(部屋の)天井を、ぎしぎしと踏み鳴らして...


意味2

(わずかの隙もない様子を表して)
ぴったりと、ぎっしりと

[出典]宇治川先陣 平家物語
「...丹の党をむねとして、五百余騎ひしひしと轡を並ぶるところに」

[訳]:...丹の党を主力として、五百騎余りがぎっしりとくつわを並べているところに...




意味3

てきぱきと、びしびしと

[出典]:源氏揃 平家物語
「...とて、ひしひしと思し召したたせたまひけり。」

[訳]:...と、てきぱきと心をお決めになりました。


意味4

(物を食べる音で)
むしゃむしゃと

[出典]児のそら寝 宇治拾遺物語
「...と言ふ声のしければ、あなわびしと思ひて、今一度起こせかしと、思ひ寝に聞けば、 ひしひしとただ食ひに食ふ音のしければ...」

[訳]:...という声がしたので、ああ、困ったことだと思って、もう一度起こしてくれよと、思いながら寝て聞き耳をたてると、(僧たちが餅を)むしゃむしゃと、ただどんどん食べる音がしたので...




意味5

すっかり、しっかりと

[出典]:世には心得ぬことの 徒然草
「近づきまほしき人の、上戸にてひしひしと馴れぬる、またうれし。」

[訳]:親しくなりたいと思う人が、酒が好きですっかりと打ち解けて親しくなったのは、また嬉しい。


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