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古文単語「かたじけなし/辱し/忝し」の意味・解説【形容詞ク活用】
著作名: 走るメロス
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かたじけなし/辱し/忝し

このテキストでは、ク活用の形容詞「かたじけなし/辱し/忝し」の意味、活用、解説とその使用例を記している。

形容詞・ク活用

未然形かたじけなくかたじけなから
連用形かたじけなくかたじけなかり
終止形かたじけなし
連体形かたじけなきかたじけなかる
已然形かたじけなけれ
命令形わりなかれ


意味1

もったいない、恐れ多い

[出典]桐壷 源氏物語
「いとはしたなきこと多かれど、かたじけなき御心ばへのたぐひなきを頼みにてまじらひ給ふ。」

[訳]:(その女性は)大変きまりが悪いことが多いのですが、恐れ多いほどの帝のご愛情が比べるものがない(ほど強い)のを頼りにして、宮仕えをなさっています。


意味2

ありがたい

[出典]桐壷 源氏物語
「いとはしたなきこと多かれど、かたじけなき御心ばへのたぐひなきを頼みにてまじらひ給ふ。」

[訳]:(その女性は)大変きまりが悪いことが多いのですが、ありがたい(帝の)ご愛情が比べるものがないほど強いのを頼りにして、(他の女性に)交じって(宮仕えを)しなさっています。




意味3

面目ない、恥ずかしい、みっともない

[出典]:明石 源氏物語
「我ながらかたじけなく、屈しにける心のほど思ひ知らる。」

[訳]:(光源氏は)自分でも恥ずかしく、くじけてしまった心の有様を思い知らないではいられません。


「かたじけなし」と「おほけなし」

類義語に「おほけなし」がある。

「おほけなし」は、「身の程知らずだ/差し出がましい」などの意味から感じ取れるように、ネガティブな意味を含むが、「かたじけなし」は、「相手の身分が高すぎて自分の身分と釣り合わずに恐れ多い/ありがたい」という意味が含まれており、ネガティブなニュアンスはない。

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